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夫婦でアルツハイマー型認知症の困難なケースを紹介

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A(夫)さん、B(妻)さんご夫婦は、京都府下の田園広がる自然豊かな町で農業を営みながら生活しておられました。
Bさんは軽い物忘れがみられるようになりましたが、よくありがちな「年のせいだろう」と娘さんも周囲の人も特に気にしていませんでした

しかし物忘れがどんどん酷くなったので受診させたところ「アルツハイマー型認知症」と診断されました。
ですが、夫であるAさんや近くに住んでいる娘さんの助けもあり、家事を援助しながら自宅で暮らしておりました。
ある日、娘さんがいつも通り、ご夫婦の自宅に立ち寄られたところ、今度はAさんの言動が少しおかしいことに気づきました。
母親Bさんの介護のこともあったので、嫌がるAさんを説得し、病院に受診されました。
MRIの検査で脳の萎縮があったことなどから、「アルツハイマー型認知症」と診断されました。

誰も助けてくれないなら私が事業所をつくる!

ご夫婦ともにアルツハイマー型認知症と診断され、娘さんは目の前が真っ暗になったと話しておられました。
舎ではまだまだデイサービスも訪問介護サービスも事業所数が少なく、徘徊が目立つAさんは入所施設でもなかなか受け入れてもらえませんでした。
Aさんが自宅から飛び出して行かないよう、家中の扉に鍵をかけていましたが、それでも鍵を開けて飛び出し、行方が分からず近所の人たちと何度も探し回る日々が続きました。
そのような日々を過ごす中「誰も助け
てくれないなら、私がサービス事業所をつくろう」と娘さんが決心され、居宅介護支援事業所、デイサービス事業所、訪問介護事業所の併設施設を立ち上げました。
そして、親のご自宅に身体介護でサービスに入り、おむつ交換、入浴、食事介助で支援していくことになりました。

Bさんの認知症状とその対応

自力で食べたり、歩くができなくなったBさんですが、自宅ではベットに横になり過ごしておられました。
身体機能には問題がありませんが、「歩く」という動作が分からなくなっており、移動時は車
いすを使用していました。
また、食事も「食べ物に対する認知」「食べるという動作」共に分からなくなっており、ヘルパーがスプーンに食べ物をのせ、「食
べて」と声掛けしながら口に入れるジェスチャーをすると、「これをか?」と不思議そうな顔をされ、一口ごとに「これをか?」と確認されていました。
このように記憶障害が強く毎回ヘルパーとは初対面みたいなものですので、いつでも挨拶・自己紹介をし、本人に安心していただいてから食事介助やおむつ交換を行うようにしました。
一口ごとに「これ
をか?」と不思議そうに聞くので、食事にかかる30分ずっとこの会話の繰り返しです。
繰り返しの会話がある方と付き合うと疲れることもありますが、根気よく向き合っていくことが重要かと思います。

Aさんの認知症状とその対応

〇ある時、外カギを開けて自宅に入ると、Aさんの声が聞こえてきました。
よく聞いていると「〇〇はいますか」と言いながら、どこか友人のお家を訪ねているような雰囲気でした。
さらには誰かと楽しそうにお話しされたり、時々喧嘩が始まって泣き出したり怒鳴ったりされます。
このようにAさんには錯覚(幻覚や幻聴)があるのです。
ヘルパーがその会話に合わせ、「いなかったですか?」「私のほうから今度注意しておきますね」など話すと少し落ち着かれ、椅子に座られます。

介護者として、Aさんの世界がどのようなものか想像し、それに合わせて会話することが大切だと考えて対応を取っていました。

シーンごとに誠実に対応することで相手に信頼できる人と感じてもらえ、その日の介護がスムーズに実施できます。

〇Aさんは、一日中動き回っているので体がとてもきつそうですが、歩くことを止められないようでした。
娘さんが最初介護をされていた時には、鍵を開けて外に出たりされていましたが、認知症が進行するにつれて鍵の開け方も分からなくなっています。
戸口まで行きますが開いていないとまた中に戻ってウロウロ歩き回ります。
疲れ切っているのに歩くのを止めれない状況に対し、適宜声をかけたり、話をしたりして座って休んでもらえるような時間を作るようにしました。

〇Aさんはオムツ交換や入浴介助、更衣などに激しい抵抗がみられました。
これは、人間の羞恥や尊厳の部分が本能的に侵されると感じ、激しく抵抗され
るのだと感じました。
汚れているという自覚もないので、いくら声掛けしても
納得されることはありませんでしたが、汚れているものを交換しないわけにもいかず、飛んでくる手をかわしながら少しでも早く終わらせようと必死でした。
多少力ずくのところもありましたが、オムツを外すところまですると本人の抵抗も若干
弱まります。
そして綺麗なオムツを身に着けた後に「すっきりしたでしょう」と声掛けすると「ありがとう」と言ってくれます。

最後に

認知症状が進み、夫婦お互いのことも、娘さんのことも分からなくなっておられました。
しかしBさんはベットで横になりながら、Aさんは家の中をウロウロ歩き回りながら過ごされていましたが、お互いの「存
在」自体は認めておられるようでした。
「あの人はだれか?」というような質問もありません。
長年、連れ添った夫婦は魂で繋がっているのかもしれませんね。

[参考記事]
「認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症の症状は?」

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