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子供から介護を放棄されたアルツハイマー型認知症の女性の事例

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Aさんの自宅での家族の支援状況

アルツハイマー型認知症の86歳の女性Aさんのケースです。
旦那様には先立たれ、自宅(持ち家)で一人で暮らしていました。
子供は四男一女の5名おられ、それぞれ家庭を持ち、子供もいます。
長男、末の娘は、地元を離れ遠くで暮らしていますが、次男、三男、四男は近くに住んでいます。
土地柄、長男は家を継ぎ先祖代々の墓を守っていくものとして大切に扱われることもあり、年老いた親の介護は長男夫婦がするというのが当たり前となっています。
Aさんの家の場合、長男が事業に失敗され、夜逃げ同然に地元を離れられたこともあり、やむを得ず近くに住む次男が、母親の暮らしに何かと気をかけていました。
しかし、次男が交通事故により障害の残る体となり、今
まで通りに仕事をすることが困難になってしまいました。
三男は、もともと母親に関心がなく過ごされていることもあり、四男が唯一近くに住んでいる子供となりましたが、四男夫婦も生活に困窮されていることもあり、「な
ぜ、四男の自分が母親の面倒をみなくてはいけないのか?」という不満を持っていました。
離れて暮らす末娘は、比較的経済力もあるので、一人で暮らす母親に
お金や米を送りますが、結局近所に住む次男夫婦やその子供が持って行ってしまいます。
このように末娘以外は母親の介護に無関心ですので、遠くから何もできずに悩んでいました。

ケアマネジャーが支援するまで

ケアマネジャーに支援依頼をしたのは、近くに住むAさんの友人です。
本人の生活をみかね、「せめてデイサービスに週に2回でも遊びに行けたらいいのに」という気持ちからです。
そして、娘が帰省される時に合わせ、ケアマネジャーとの話し合いが持たれました。
ケアマネージャーが契約・アセスメントのため自宅を訪問したところ、四男さん、末娘がいたのですが、四男は近所の方が勝手にデイサービスの話を持ち込んだことに激怒されていました。
「デイサービスに行かすと簡単に言うが、
誰がお金を払うと思ってるんだ」と怒鳴っていて、結局は「ご家族でもう一度よく話し合われてからご連絡ください」とその日は何も決まりませんでした。
後日もう一度来てほしいと連絡を受けご自宅を訪問しました。
その時は、四男さんも穏やかに話をされ、デイサービスに週に3回利用し、費用は末娘が支払うということで話はまとまりました。
デイサービスの利用がスタートし、最初の1,2回は利用されましたが、しばらくするとスタッフが送迎に行っても拒否されることが目立ってきました。
A
さんに拒否する理由を尋ねると、「自分は、まだまだ元気だから仕事をしなくてはいけない。デイサービスは年寄りが遊ぶところだから」と言われます。
自宅では、食
事の準備も入浴も一人ではままならない状態ですが、自分はちゃんとやれているからと家中のカギを閉めて頑としてもデイサービスの送迎車に乗るのを拒否されます。
結局デイサービスの利用は休止になりました。
デイサービスを休止することになり、末娘さんからの要望で訪問介護を週に3回利用することになりました。
確実に本人に食事を摂っていただけるよう、訪問介護事業所が末娘さんよりお金を預かり、一食に必要な食材を準備し調理す
ることになりました。
しかし、Aさんには幻聴・被害妄想があり、訪問すると「引っ越しをしなくてはいけない」と言って、家中の荷物を片づけていることもありました。
その都度、訪問介護員やケアマネージャーが「引っ越しの日は明日ですよ」「引っ
越しは娘が来てからにしましょう」など説得し荷物を片付けていました。
この頃は、老人施設への入所も検討したのですが、本人のADL(日常生活動作)も高く、言葉もたくみな方だったので、介護認定も2しか下りないため入所もできず、なすすべがない状況でした。

転倒による骨折 施設入所へ

そんなAさんでしたが、ある日、家の前で転倒され病院に救急搬送されました。
診断は、「右大腿骨骨折」。
高齢でもあり、手術はせず自然治癒を目指すことになりました。
車いすでの生活となられ、ケアハウスに入所されることになりました。
ケアハウスに入所してからは、問題行動としてオムツ外しがありました。
その結果、シーツ、ラバーシーツはもちろん汚れてしまうのですが、濡れた後に掛け布団をかけられるので、掛け布団も濡れています。
そして、ズボン、オムツはベット下に脱ぎ捨ててしまいます。
本人
に、「スタッフが交換に来るから外さないでよ」と声掛けすると「わかった」と満面の笑みで「かわいいね」とスタッフの顔を優しくなでたりされます。
でも、3時間ごとにおむつ交換がありましたが、7回中5回は既に外されています。
そこで、排尿
間隔を掴むため、日中はリハビリパンツに尿パットという組み合わせに切り替え、2時間おきにポータブルトイレに座ってもらうということを繰り返しました。
排尿がある時も徐々に増えてきました。
見えるところにポータブルトイレを置いておくと、
骨折後歩けなくなっているはずの足で、ベットから降り、ポータブルや車いすに座ろうとされる行為もありました。
危険なので、介助時以外は見えないところに車いす、ポータブルトイレを置くようにし、ベット柵も取り付けましたが
やっぱり移動されていたりとスタッフ間では「いったいどうやって移動してるんだろう?」と不思議でした。
幸い大きな怪我もなく過ごされていますが、夜間は家族の同意の上、ミトンを着けてもらうようにしました。
でも上手にミトン
を外され、やっぱりシーツが全部濡れていることが多かったです。
スタッフとしては、忙しい時間帯にすべて取り換えなので「はぁ~」とため息がでることもしばしばでしたが、満面の笑顔で「きれいにしてくれてありがとうね。か
わいいね」とスタッフの顔を優しくなでられると不思議と「しょうがないか」と思わせられるAさんでした。

おわりに

決定的に効果のある対策は取れませんでしたが、柵をつけても、ミトンをつけていても、車いすを隠しても、声を荒げることなく、ひょいひょいと自分のしたい行動をし、スタッフに叱られても満面の笑顔で接されるAさんをみていると、スタッフもいつのまにか「今日は、Aさんにやられちゃったよ」とオムツ外し自体が問題行動ではなくなってしまいました。
スタッフのほんの少しの気持ちの持ちようで問題行動と思われていることもプラスの気持ちに変えられるんだなと思わせる事例でした。

[参考記事]
「認知症入居者のオムツ交換に苦労したが、ある方法で即解決」

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