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認知症の中核症状って一体どんな症状なの?

 

 認知症の症状は「中核症状」と「周辺症状」に分けられますが、今回は中核症状について説明します(周辺症状については「認知症の周辺症状ってどんな症状なの?」)。

 この中核症状は脳の物理的な障害から発生しているため、認知症の方のほとんどの方に見られる症状です(例えば血管性認知症は脳梗塞などの脳の病気により症状が発生しています)。

 中核症状の主な症状は

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〇記憶障害

 記憶はエピソード記憶、手続き記憶、意味記憶に分けることが出来ます。

 エピソード記憶は「旅行に行った」「食事で〇〇を食べた」など日常で体験してきた記憶です。

 手続き記憶は電話のかけ方、ピアノの弾き方、車の運転の仕方などの手順のある記憶です。

 意味記憶は首相とは何かなど一般常識の記憶です。

 一番、初めに衰えてくるのがエピソード記憶です。

学習・記憶力の低下は
〇何度も同じことを繰り返したり、尋ねたりします。
〇薬を飲んだことや食事をしたことを忘れる
などの症状です。

「認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症の症状は?」より引用

〇見当識障害

 「今何時?」という時間感覚の喪失から始まって、最終的には今が何年何月なのかが分からなくなります。さらには自分が家にいることも分からず「家に帰る」と言い出すこともあります。

見当識障害は「時刻や年月日」「今自分がいる場所」「一緒に話したり、食事をしている相手」など今現在の状況が分からなくなることです。
「時刻や年月日」に関しては時刻→日付→年→月という順番に分からなくなります。

「認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症の症状は?」より引用

〇理解力や判断力の障害

 理解力や判断力の障害は例えば会話をしている時に理解力が衰えているため、返答が遅くなります。

 さらには2つのことを同時に行なう注意分割機能も衰えています。例えば料理で複数のおかずを作ったり、話を聞いてそれを書き写すことが出来ません。これも理解力や判断力が衰えているためです。

次は「注意分割機能」について説明します。
注意分割機能」とは複数の作業を同時に進行する能力のことです。
例えば料理です。
料理は洗う・切る・焼く・炊くといった動作を同時に行うわけですが、認知症になると今まで出来ていたこれらの行動が難しくなります。

認知症になりたくない。予防することはできるの?」より引用

〇実行機能障害

 料理をする場合には「どの素材を使うか」「鍋は何を使うか」「どのおかずから作るか」など計画をしてからでないと実行することは不可能ですが、認知症の人はこの「計画」し、「実行」する能力が衰えています。

実行機能障害は計画を立てながら手順を踏み、目的を達成する事が出来なくなります。
例えば料理をする場合には「野菜を切って、次にガスを付けて」など手順を決めないと出来ませんが、この一連の動作が難しくなります。

「認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症の症状は?」より引用

〇失語・失認・失行

③失語
失語は今までに使っていた言葉が出にくくなることにより、人と会話ができなくなったり、相手が話している内容を理解できなくなります。

④失認
人は視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚といった五感を通して外界と関わっています。
しかし、失認の障害を持っている人は五感のいずれかが脳の損傷(もしくは変性)により損なわれているため、対象を認知できません。
ですので、自分の子供を妻だと思ったり、電話の音の意味が分からなくなったり、いつも歩いていた道なのに迷ったりします。

⑤失行
失行は身体的に問題はないのに目的に合った行動ができない事です。
例えば洗濯機の使い方、服を着る方法、歯の磨き方などこれまで出来ていた行動が難しくなります。

「認知症の中でも一番多いアルツハイマー型認知症の症状は?」より引用

 中核症状の説明は以上ですが、認知症はこのような症状のいずれかが出現していることがほとんどです。

周辺症状について

 一番初めに、認知症の症状は「中核症状」と「周辺症状」に分けることが出来るとお伝えしましたが、周辺症状についてここで少しだけ触れます。周辺症状には徘徊、攻撃的言動、不眠、幻覚、妄想などがあります。これらの周辺症状は中核症状から発生したり、家族や介護者との関わりによって現れます。

 周辺症状が「中核症状から生まれるケース」では中核症状の記憶障害により自分の大切な物をどこに置いたのかを忘れているのに、盗られたと勘違いをして身近の人を泥棒呼ばわりしたりします。

 身近の人を泥棒呼ばわりすることは脳機能の低下だけではなく、「対人関係によって生まれている側面」もあります。家族や介護者との関わりによって現れるケースでは例えば夫と上手く関係性が結べないことからくる不安感、ストレスといった心理が認知症患者に生まれることにより、周辺症状である浮気妄想が生じたりします。夫が出かけると「浮気してたでしょう」と責めたりして、さらに関係が悪化します。これは今ではなく昔、夫が浮気をした記憶から言っている可能性が高く、記憶障害の側面もあります。

 認知症の症状である中核症状を消失させることは難しいのですが、周辺症状は対人関係で緩和することが可能です。症状を悪化させないようにするには周囲の人が認知症を理解することが大切です。認知症の方はわざと迷惑をかけるようなことをしている訳ではないので、絶対に認知症の方を否定したり、怒ったりしてはいけません。認知症の方を怒って症状が悪化したら、大変になるのは介護者なのですから。

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