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認知症の方を悪質業者から守るために成年後見人を利用した事例

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 80代のI様(女性)は、軽度の認知症(アルツハイマー型認知症)があります。過去に美容院の経営者として60代まで現役で仕事をされていました。とても性格が明るく、誰からも慕われやすい性格の持ち主です。

 2人の娘は結婚してそれぞれ家庭を持っているため、I様は一人で分譲マンションに居住されています(娘はI様の自宅からは100キロ程離れた地域にて生活)。常に、お一人で生活している為、少し物忘れが出るようになり、予防のためにもデイサービスを利用することになりました。

施設利用申し込み時の意外な事実

 I様のご自宅にてケアマネージャー及び娘立ち合いの元にデイサービスの手続きをしました。その際、娘より訪問販売やセールスから頻繁に電話がかかってくる事を聞かされました。室内を良く見ると、健康器具や化粧品がたくさあり、「母は電話セールスや訪問販売が来ると、直ぐに購入してしまうのです」と悩みを相談されました。マンションはオートロック式で外部の者は許可なく立ち入り禁止となっています。しかし、I様は、誰でも営業マンが来るとオートロックを解除し、自宅に招いてしまいます。家に上げてしまい健康器具や化粧品、保険、投資などの契約を安易に契約します。

 ケアマネージャーも初耳で、最近、高齢者を狙った「オレオレ詐欺」があるから注意してくださいと話しました。

【施設利用時に電話】

 I様がデイサービスを利用している際に、携帯に電話がかかってくる事があります。決まってデイサービス施設に来所した直後に連絡があります。家族や知人から緊急連絡が入る可能性もあり、携帯持参を拒否することはできません。職員が電話の話し声に聞き耳を持つと、何らかの営業からの話でした。I様本人に電話の相手のことを聞くと、「知り合い」と話し、「営業ではないから大丈夫」と話します。

【物忘れが進行】

 施設では、酷い物忘れが見られました。当初、ご利用時には見られませんでしたが、徐々に「同じことを繰り返し話す」、「会話が成立しなくなる」事がありました。ケアマネージャーと相談し、普段、一人住まいで誰も気づかないため、少し様子を見ることにしました。娘さんにもこのことを報告しました。

 しばらく様子を見ましたが「物忘れ」は明らかに酷くなっていきました。I様が何度も同じ話をしても職員は根気よく楽しく会話をしました。また、I様が帰宅後に連絡帳を見て思い出してもらえるように、帰宅時に渡す連絡帳に今日の出来事として会話をした内容を記載しました。しかし、徐々に連絡帳を見ることもなくなり、施設に持参することもなくなりました。

【掛かりつけ医への相談】

 ケアマネージャーと相談し、娘同伴でI様と一緒に掛かりつけ医に受診をしてもらいました。認知症が進行していることは明確でした。日々、一人で生活しており、営業マンが優しい言葉をかけると、その人をいい人と認識します。I様は何が良くて悪いかの判断能力が低下しており、悪質な営業や詐欺にかかりやすい傾向があります。

 判断能力が低下しているため、全てを受け入れてしまい、何が悪いのか、いけなかったのか第三者から言われないと分からない状態になっていました(言えばその場は気が付くが、時間の経過と共に忘れます)。

【成年後見人制度等の活用】

 市役所も関与し対策を検討することになりました。このままではI様の財産が食い尽くされてしまう恐れがあるとの事で、市民法律相談の弁護士から娘が成年後見人になる提案がありました。娘は遠方に居住しており、何かが起きても即時に来ることができないと拒否しました。しかし、自宅マンションを騙されて売却するなどI様(母親)の財産が食い尽くされ、その影響が娘にも及ぶ可能性があると弁護士から提案されて成年後見人になる決意をしました。

 判断能力なきI様が勝手に契約した法律行為は、成年後見人(娘)が取り消すことができます。この制度を活用することによって、I様の財産が守られることになりました。後に、弁護士より、「悪質業者間でI様の個人情報が売り買いされリスト化されている為、多くの業者が頻繁に営業に来ている」との事を聞きました。

 「判断能力が低下」した一人暮らしの方で家族が身近にいない場合、施設職員及びケアマネージャーがまめに連絡を取り合い、事故、犯罪のリスクを軽減することが必要です。

[参考記事]
「親の認知症介護問題で親族の関係が崩壊。成年後見人の勧め」

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