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アルコール依存症の長男との同居している認知症男性の事例

 

沖縄の自宅でアルコール依存症の長男と同居されている、脳血管性認知症のCさん(男性)のケースです(10年前に妻は病気の為他界)。

5年前に自宅で倒れられて、救急で病院に搬送されました。病名は「脳梗塞」との診断でした。左側の血管が梗塞を起こしたために、右側に麻痺が残りました。幸いリハビリを頑張られ、自力で歩行も可能になるまで回復され、自宅に戻られました。脳梗塞の影響で記憶障害がみられるようになり、脳血管性認知症と診断されています。

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介護保険のサービスの利用が始まる

入院中にケアマネージャーを探し、介護認定の申請をしました。認定は「要介護2」がおりて、介護保険のサービスを利用することになりました。デイサービスに週に3回通われる様になり、入浴はデイサービスで対応していただけることになりました。

散らかり放大の自宅

Cさんは、長男と2人で暮らしていましたが、なにぶん男所帯です。Cさんと長男は調理も掃除も全くすることができません。長男は、アルコール依存症の為、定職に就いていません。家中、洗濯ものや、酒の瓶、ビールの缶などがちらかり、机の上には、コンビニ弁当等が置きっぱなしで蠅がたかっていました。暑い沖縄のこと、食事が痛むのも早いです。

時々、長女が父を心配し、自宅の掃除をされていましたが、長男と不仲なこともあり、顔を合わせるとけんかになるので、たまにしか来られませんでした。

尿失禁でトイレ前は水びたし

Cさんは、足に麻痺があるため、片足を引きずるように歩いていました。尿意はあるのですが、トイレに行くまで間に合いません。トイレ前のたたみは、尿で色が変色し、トイレも尿臭が立ち込めていました。これには、長男が激怒されることもしばしばありました。

訪問介護を利用したい

長女は父親があまりにも不衛生な部屋で生活されている事を心配されていました。訪問介護の利用を希望されましたが、Cさんには同居家族がいるので、生活援助で訪問に入ることができません。

ケアマネージャーが、同居家族がアルコール依存症の為に掃除や調理等が出来ない旨を書いた申請書を高齢福祉課に提出しました。役所が調査に入り、審査の結果訪問介護の生活援助の利用が可能になりました。

訪問介護の利用スタート

週に3回訪問介護の利用がスタートしました。あまりにも散らかっているので、ヘルパーはスリッパ持参です。事業者の方針により、よほどのことがない限り、スリッパ持参は認められないのですが、あまりにもヘルパーがかわいそうという事で認められました。

訪問介護が入るようになり部屋はいくぶんか綺麗になりましたが、週に3回の訪問では、行くたびにまた元通りの有様でした。

尿に対しては、出ているという感覚もないようで、濡れていても着替えようとされません。尿失禁は確かに大変ですが、ご本人のADL(日常生活動作)の低下を防止するためにも、オムツにするのではなくトイレでの排せつを続けていただくことが大切だと考えました。長男さんとも話し合い、見守っていただけるようお願いしました。

以前からリハビリパンツは使用していたのですが、尿採りパットも併せて使用するようにしました。しかし、改善策にはなりませんでした。着替えを促すと、嫌がることもなく素直に応じてくださいますので、「汚れたら着替える」で対応しました。また、長男にも汚れた服の更衣の声掛けもお願いしました。

ケアハウスに入所

尿失禁での長男さんとのトラブルも悪化し、同居が困難になってきました。幸いケアハウスに空きがあり入所されることになりました。なるべくトイレの近くにベットを置くようにしましたが、失禁はやはり目立ち、シーツが汚れていることもしばしばでした。

環境が変わったせいか、認知症状が急速に進み、ケアハウスの事務所に、「週に3回働きに行っているが、賃金をもらっていない。」(デイサービスを仕事と思っておられました)、「退職したいのであいさつにきました」などつじつまの合わない事を言われる様になりました。

それに対しては、「伝えておきます。」など話を合わせるようにしました。本人は次の日にはすっかり忘れているので、それ以上同じ話をすることはありませんでした。

Cさんと接して学んだこと

ヘルパーの名前などはほとんど、覚えておられませんでしたが、いつ訪問してもにこやかに対応される方でした。ケアハウスに入所し、認知症状は急速に進んだのをみて、住み慣れた自宅でもっと支援していく方法はなかったのかな?と感じる時もあります。

しかし、ケアハウスに入所し清潔な環境で、食事なども3食しっかり摂れ、たくさんの入所者の方と楽しそうに過ごしておられるのを見るとこれで良かったのだと感じます。

[参考記事]
「認知症介護 宮野さん編⑤母の暴言で疲れ果てアルコール依存症に」

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