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二人とも認知症という夫婦に対する在宅支援

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 最近は「老老介護」ではなく、「認認介護」という言葉が聞かれるようになりました。訪問介護のヘルパーとして在宅支援をした、二人とも認知症の症状をもつご夫婦をご紹介します。

<ご夫婦の生活>

 Sさんご夫婦はお二人でご自宅で生活されていました。奥様(90才)は圧迫骨折後、一人での歩行は困難になり車いすを利用されていました。認知症の症状もあり、週に5回のデイサービスを利用されていました。

 ご主人様(92才)は杖使用で自立歩行可能でした。また、日常生活自立度Ⅱa程度の認知症の症状が見られました。週に2回のデイサービス利用でしたが、ご自宅でゆっくりしたいという希望から拒否されることも多くみられました。

 息子様ご夫婦が二世帯住宅で一緒に住んでおられるものの、介護協力はほぼ得られていませんでした。

<在宅介護の支援>

 Sさんご夫婦のヘルパーの支援は毎朝奥様のデイサービス送り出しから始まります。奥様はご自分の寝室にリハパン着用でベッドに就寝しておられますが、朝から訪問すると失禁の不快感から毎朝リハパンを破り、ポリマーまみれでベッドにおられるため、全身の清拭後更衣をしなければなりません。

 その間にご主人様が朝食を準備してくださいますが、この年代の男性の多くは奥様が家事をしていたため、家事が苦手な方が多いです。ですので、朝食といっても、お豆腐をレンジで温めるだけや、マグカップに生卵を入れて温めるといった料理でした。

 夕方は奥様がデイサービスから帰られてからの支援に加え、夕食の準備等をさせていただいていました。

<進行する認知症症状>

 ご夫婦で認知症の症状が少しずつ進行しました。奥様は自宅もご主人も認識できず、デイサービスから帰ると、ご主人に「お邪魔します。」と頭をさげ家に入ります。そのせいか、「結婚前に生活されていた実家へ帰りたい」と帰宅願望が出るようになりました。

 また、トイレへ行きたいと要求する回数が増え、トイレへ行って戻ってソファへ移乗しても5分も経たないうちにまたトイレへ行きたいと言います。もちろん、ヘルパーがトイレへ介助しても排尿がありません。また、ヘルパーがいない時間帯にはご主人様が介助しようとされますが、ソファから車いすの移乗は見守りしかしないため転倒の危険が高い状態でした。夜中に何度も奥様から起こされるため、ご主人様の疲労も増大し、奥様が呼んでも聞こえないフリをするようになられました。ご主人様はますますデイサービスを拒否するようになられ、通院もされずご自宅から全くでないことが多くなりました。

<その後の対応>

 奥様が料理をお好きだったと聞いて、ヘルパーが調理中に、皮むきやスライサーでのスライス等を手伝っていただくようにしたところ、トイレや、実家への帰宅願望も減りました。また奥様が調理に関わったことで、ご主人様も久しぶりに奥様の料理を食べられたと笑顔で食事をするようになりました。ついでにヘルパーが夕食調理時に翌日の朝食の準備をすることで、朝からのご主人様の負担を減らすことができました。

 夕方ヘルパーが退室してからのご夫婦の生活は見ることができませが、支援の中でご主人が日記をつけていることを教えてくださいました。拝見させていただくと、奥様から夜中にトイレに行きたいと起こされた時間や、奥様がベッドから転落された事など記載されていました。ご主人にお尋ねしても、ベッドからの転落なども覚えていない状態でしたが、ヘルパーからデイサービスへ情報を繋げることで、医師や看護師の判断を仰ぐことができました。

 また、ご主人様の介護負担軽減のため、月に何日か奥様のショートステイ利用を開始しました。初めは寂しがっておられたご主人様も、ゆっくりと休養できることで、デイーサービスの回数も増えました。そして、これば偶然ですが、デイサービスにて戦争中同じ軍隊におられたという戦友との再会により、拒否なくデイサービスに行かれるようになりました。

<まとめ>

 その後しばらくして、ご主人が病気で入院されたのをきっかけけに、奥様は施設へ入所されることになりました。ご主人は退院されご自宅に戻っておられますが、また奥様と生活できるのを楽しみにしておられるようです。とても仲の良いご夫婦で、このご夫婦の在宅支援に関わることができてとても幸せでした。様々な介護サービスを利用することでいつまでも仲の良いご夫婦でいていただけたらと願います。

[参考記事]
「ヘルパーが閉口してしまう認知症による問題行動(部屋に水をまくなど)」

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