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認知症介護 宮野さん編④リハビリ病院でのセクハラ事件の真相

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この記事は「認知症介護 宮野さん編③向精神薬の副作用で骨折。緑色の猿や妖精が空を飛ぶ幻覚も」の続きです。

……………………………

深夜に幻覚を見て、不意に起き上がり転倒。
そして両足を骨折…。

最初に診断された老年性うつと、抗精神剤の処方が多すぎたことも一因かもしれませんが、睡眠障害、見当識障害、そして幻覚という一連の症状は、やはり認知症を疑うのに十分でした(ここまでは前回の記事の内容です)。

退院後、CT検査が行われ、脳の記憶をつかさどる「海馬」といわれる部分に委縮が発見されました。
アルツハイマー型認知症の特徴です。
まだ60代半ばでした。

以前はあれだけむきになって認知症を否定した母ですが、決定的なCTの画像を前にすると口数も少なく、ただ「はい、はい」とうなずくだけでした。

両足のつけ根を骨折するという経験をしながら、リハビリによって母は再び歩けるまでに回復していました。
ですが、入浴は無理です。
妻には絶対に身体を触らせなかったので、介助するのも無理でした(男性である私にも母は抵抗感がありました)。

ケアマネさんと相談した結果、入浴介助のためヘルパーさんに来ていただくことになりました。

介護保険の申請、ヘルパーとの契約、スケジュールの設定などなど。
手続きや確認しなければいけない事柄が多く、仕事の都合をつけるのが大変でした。
入院中は手術日に付き添いもしましたし、毎晩は無理でしたが見舞いにも行きます。リハビリ計画を立てるだけでも家族を招いたミーティングが行われるので、平日の昼間に時間を割かなくてはいけません。
振り返ると、あの頃は明らかに仕事のクオリティが低下していました。
介護のために会社を辞めてしまう人がいるのもよく分かります。
あらゆる手続きに家族が立ち会う必要があるので、仕事に穴をあけざるをえないのです。

病院側はキーパーソンを探している

骨折して入院した当初の頃は、ソーシャルワーカーの方がかなりしつこく(という言い方は失礼ですが)、私にどれだけ時間を割けるか質問してきました。
病院側の姿勢もよく分かります。
高齢者を持て余して、入院させたきり知らんぷりというケースが多発しているからです。

母は離婚しており、兄弟とも絶縁状態になっていました。
私は一人息子。
病院側は私を「キーパーソン」として、すべての窓口にしたのです。

高齢者が入院する際、病院のソーシャルワーカーはまず「キーパーソン」を見つけることから始めるのだそうです。

入院当初こそ「この人は本当に親の面倒を見る気があるのだろうか?」という疑いの様子を隠さなかったソーシャルワーカーでしたが、何度も顔を合わせるうちにすっかり打ち解けることができました。
裏を返せば、いかに家族から見放される高齢者が多いかということでしょう。

セクハラ事件の真相

骨折で救急搬送された病院から、さらにリハビリ病院へ。
母はトータル半年近くも入院していました。

印象的だったエピソードがあります。

リハビリ病院は車いすの患者がほとんど。
車いすの乗り降り、トイレなど介助の機会が頻繁にあります。

そこで病棟には看護師の他、ヘルパーも常駐しています。
ある時、母が「男性ヘルパーからセクハラを受けた」と騒ぎ出したのです。
すぐに病院側と話し合いが持たれました。
「トイレの際、男性ヘルパーが中に立ち入ってきた。普段も私のことをいやらしい目で見ている」というのが母の主張です。
病院側の回答は「男性ヘルパーは女性用トイレに入らない規則になっている。患者への見守りは行っているが、本人にも確認したところ決してやましい意思は持っていない」でした。
セクハラしたとされる男性ヘルパーにも顔を合わせました。
30代くらいで、髪の薄い、大人しそうな雰囲気の方です(※わざわざ外見を描写したのには理由があります)。
2016年、川崎の老人ホームで入居者3人が職員に窓から突き落とされた転落死事件はまだ記憶に新しいところです。
介護する側がいじめやセクハラを行う可能性を100%否定することはできないでしょう。
ただし、今回のケースは認知症による被害妄想と考えられます。
セクハラを疑われた男性ヘルパーさんには申し訳ない限りです。
なぜなら病棟には他にも一人、男性ヘルパーがおり、20代でイケメンな彼が介助する時は、母がひとことも文句を言わなかったからです。
看護師長が苦笑しながら話しました。
「いくつになっても、認知症になっても、女は顔で男を判断するのよ」

笑顔になれる機会の少なかった介護生活ですが、この時ばかりは私も笑いました。

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