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親の認知症介護問題で親族の関係が崩壊。成年後見人の勧め

 

 介護問題で親族間や家族間がぎくしゃくする例は、誰にでも起こり得る問題です。しかもこの問題は繊細で、下手をすれば当代だけでなく子の代までも関係性が影響する可能性もあります。

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何故ぎくしゃくするのか

 私の家では祖母が認知症で、私の母と父が介護をしていましたが、介護に関して人間関係(親戚関係)がぎくしゃくした原因は「お金」と「元々の関係性」でした。

 まず、「お金」に関してですが、同居する家族の誰かが親のお金を管理する事はよくあることです。私の実家では父がお金を管理していたのですが、年に1度しか来ない叔父(私の父の実の兄弟)とお金の話になり「介護でそんなに減らないやろ。」という一言で関係性が一気に悪化しました。

 介護に関わる人を分類すると「お金は出さないけど介護で中心的な役割を担っている人」「お金は出すけど、介護はしない人」「お金も出すけど、介護もする」「お金も出さない、介護もしないけど、口だけ出す人」に分けるのことができますが、叔父は「お金も出さない、介護もしないけど、口だけ出す人」です。

 もし、祖母が死んだ場合にはこの叔父にも相続権がありますので、あまり貯金が減ってほしくなかったようです。

 そして「元々の関係性」ですが、親戚とは元々話し合いで解決する間柄ではなく、大事な事ほど秘匿する傾向があった為に介護に関しても当然ながら話などしておりませんでした。

 話し合う習慣がないどころか秘匿する間柄でお金が絡んだのですから、こじれにこじれたこの問題はもはや手の打ちようがありませんでした。

 結果もともと疎遠だったのにますます疎遠になり、私は叔父の顔を3年程見ていませんし、従兄の顔はもっと長い間見ていません。
どこに何県に住んでいるかも知りません。

 お金や元々の関係性以外のよくある例は、キーパーソンだけが介護をして他の家族・親族は介護に一切関わらない事が原因になる例です。

 この例では、お嫁さんばかりが介護をしており、夫婦間にまでギクシャクしてしまう事もあります。自分の親であればいいのですが、旦那さんの親ともなれば「あなたの親でしょ。少しくらい手伝ってよ」となって当然です。

 最終的には離婚をしてしまう夫婦がいるくらい介護の問題は大きいのです。私が勤めている施設にも介護問題で離婚した結果、施設に頼らざるを得なくなってしまった人はいました。

介護で関係性をギクシャクさせない為には

 普段からよく話し合い、関係性を築いている家族、親族であればいいですが、そうでない場合には「お金を絡ませないようにする」のが良いです。

 介護職員として勤務する中でもお金問題はたまに相談を受ける事がありますが、その中の7割くらいのご家族は成年後見人(親族以外の成年後見人)に管理してもらい対処していました。

 成年後見人を指名するとその人が介護サービスの契約ごとやお金の管理などを行ってくれます(家庭裁判所の審判が必要です)。成年後見人には親族だけではなく、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するケースもあります。

 費用は掛かりますが、騙されて土地の売買をされるなどの金銭問題の一切を解決できるので費用対効果は良いと思います。費用は東京家庭裁判所が出した「成年後見人等の報酬額のめやす 」をみると2万円から6万円です。その他に不動産売買などの作業がある場合には「付加報酬」としての費用を払います。

成年後見人が,通常の後見事務を行った場合の報酬(これを「基本報酬」と呼び ます。)のめやすとなる額は,月額2万円です。

ただし,管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が高額な場合 には,財産管理事務が複雑,困難になる場合が多いので,管理財産額が1000万 円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円,管理財産 額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とします。 なお,保佐人,補助人も同様です。

[付加報酬]
成年後見人等の後見等事務において,身上監護等に特別困難な事情があった場合に は,上記基本報酬額の50パーセントの範囲内で相当額の報酬を付加するものとしま す。

 親族が成年後見人になると費用は抑えられますが、煩雑な事務作業をその人が行わなければならないので注意して下さい。「自分の家は大金持ちではないし、大丈夫」と思っていると危険です。資産の多寡にかかわらず、金銭問題は泥沼化するのが世の常で私の実家も資産家ではありません。

 自分の介護問題の為に家族や親族の関係性がギクシャクしていくのをただ見ていなければならない要介護者の立場で考えてみるとこんな切ない事はありません。

[参考記事]
「オレオレ詐欺にあった認知症の女性のために行った対策(実例)」

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COMMENTS & TRACKBACKS

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  1. 親族が、特定の専門職後見人に、依頼や指名することは、できません。
    家庭裁判所の審判をへて、家庭裁判所が後見人を専任します。
    メリットもありますが、デメリットも多い。
    この説明だけでは、誤解をうみます。
    審判ですので、覆せない。
    しっかりと勉強し調べて、慎重に、考えるべきことです。

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