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失語の認知症高齢者とジェスチャーでコミュニケーション

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 介護付き有料老人ホームで今年からヘルパーの仕事をしている21歳です。私の施設の認知症高齢者kさんは全く言葉が通じなくて、自分の名前、トイレなどの名称も分かりません。つまり認知症の中核症状である失語の症状が現れています。失語があるので、言葉でのコミュニケーションは非常に困難です。

 例えば、私がkさんと一緒にトイレに行って「ずぼんおろして」と言いますが、その言葉に対してkさんはトイレットペーパーをたたんで「はい。これやろ」と私にくれます。言葉で伝えようとするとこの調子が一日中続きます。私はKさんとコミュニケーションができず、非常に困惑していました。

ジェスチャーでのコミュニケーション

 介護未経験だった私は、kさんとのコミュニケーションに日々困惑していました。あまりの言葉の伝わらなさに、強い口調で言ってしまったことも正直あります。それでもkさんは困った顔で「わからん。わからん。」と繰り返すだけです。

 しかし、ある時の食事の介助中にご飯をひたすら潰しているkさんをみかねた私は「たべて」という言葉と同時にスプーンで食べる動作をしているジェスチャーを加えました。そうすると今まで苦労したのは嘘かのようにご飯を食べ始めました。

 ここからヒントを得て、他のことでも意思疎通をするためジェスチャーを使うようになりました。実際行ったジェスチャーを紹介したいと思います。

夜間の徘徊時に誘導ジェスチャー

 kさんは夜中にトイレが分からないためか何度も徘徊を繰り返していました。そこで徘徊時に言葉や引っ張って居室へ誘導しようにも拒みます。そこでkさんを居室へ連れていくために「私についてきて」と言うのと同時に歩くジェスチャーを加えます。そうすると理解ができるために素直に従ってくれます。

 同様に、トイレの際にも言葉をかけながらジェスチャーを加えるだけで今まで苦労したのは嘘のようにコミュニケーションが出来るようになったのです。

レクリエーションのためのジェスチャー

 夜中徘徊をするkさんへの対応として日中に運動させることを私の施設では行っています。具体的には、毎日のレクリエーションへ参加してもらいます。しかし、失語があるkさんは周りの認知症高齢者がしている活動についていけず、ただ座っている日々が続いていました。

 そこで個別にレクリエーションの内容をジェスチャーで伝えることを始めました。

 例えば、その日が映像を観ながらの体操だったとします。この場合、私が行うのは

1、単語で何回も言葉で伝えながら、以下の2と3を行う。

2、その映像を指して真似をするということをジェスチャーで教える。

3、私も映像と同じことをして体操をしやすい状況をつくる。

ということです。

 肝心なのは、工夫をして何度も伝えるということです。私の場合、kさんにその行為を真似させるのに10回以上は繰り返しました。一回して諦めるのではなく工夫を凝らして根気づよく行うことが大切です。そのおかげかkさんの夜中の徘徊は以前と比べて減りました。

うつ状態時のリラックスジェスチャー

 認知症の症状として、うつ状態になることがあります。理由は様々ありますが、Kさんの場合には介護付き有料老人ホームに入って間もないこともあり、環境の変化について行けなかったこと、そしてコミュニケーションができないことによるイライラなどがあったのではと推測します。kさんは椅子に座って頭を抱え込んでいることがありました。

 そういう時に行ったのが、穏やかな表情でゆっくりと話を聞きながら、必要な時だけ簡単なジェスチャーを行うことです。話の意味が理解できなくても、「理解しているよ」という相槌を打つポーズをしてうなづいたりすることを心掛けました。そうすることで、kさんの表情も次第に穏やかになっていきました。

 ジェスチャー まとめ

 失語のある認知症高齢者とジェスチャーで会話を行うことは非常に有効です。しかし、ジェスチャーで毎回上手く行くかと言えばそんなことはなく、伝わらないこともあります。しかし、言語やジェスチャーを上手に組み合わせて何度も試行錯誤しながらゆっくりと取り組むことが大切です。

[参考記事]
「認知症の人とのコミュニケーションで大事な要素とは」

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