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同じ自慢話を何度も繰り返す認知症の女性とその対応

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認知症のため、同じ話を何度もくり返すMさん(女性、80代)。
スタッフは、割り切って何度も繰り返し聞くことができますが、同じデイサービスに通う利用者さんはMさんに対して拒否反応が見せます。
繰り返し同じように話を聞いていたスタッフの対応も、果たしてこれでいいのか考えました。
お互いに不快な思いをせず過ごすにはどうしたらいいのか、検討した対応事例です。

自慢話を繰り返し話す

Mさんはアルツハイマー型認知症です。
車いすの生活で、週に3回デイサービスに通っています。
一見会話は普通にできますが、人の話を聞くことは苦手で、1日に何回も同じ内容の話を繰り返します。
「うちの夫は会社を起ち上げて、1代目の社長なの。今は息子が継いでいるんだけど。景気が悪くても、うちの会社はいつも景気が良い。私も若い頃は一緒に頑張ったから、私もみんなに社長と呼ばれるのよ。」という自慢話です。
実際のところは、夫は数年前に他界し、息子さんは会社を継いでおらず、立ち上げた会社は、現在親戚の方が経営しているとのことです。
デイサービスに来ると、必ずこのお話をします。
1日に何回もこの話を繰り返すので、うんざりする利用者さんがでてきてしまう状況でした。
「また自慢話がはじまった」「聞き飽きた」「Mさんと席を離してくれ」など、Mさんに聞こえないように悪口を、利用者さん同士で話していることも多くみられました。
聞かされるのが嫌で、Mさんに近寄らず、避けている利用者さんもいました。

良かれと思った対応が失敗

ほとんどの利用者さんは、Mさんの繰り返すお話を「認知症のため」とは思っていませんでした。
認知症という病気を、多くの利用者さんは知っていましたが、「Mさんが認知症」という認識はありませんでした。
「いつも自慢話ばかりする人、しかも何度も」というように捉えていました。
初めに取った対応は、Mさんと近い席にはあまり反応を示さないタイプの利用者さんばかりを集めました。
言い方は悪いですが、『この方ならMさんの話に文句を言わないだろう』と思われる方ばかり一緒の席にしました。
すると、あまり反応を示さないので、話しても返事が返ってくることが少なく、Mさんが退屈そうになってしまいました。
話し相手を探すため、他のテーブルに行きたいという要望も聞かれました。
また、いつもあまり反応を示さない利用者さんも、話を繰り返されると「うるさい」と怒ったり、ため息をつく方もいました。

包み隠さず、真実を伝える

Mさんを悪く話す利用者さんに対して、本当のことを伝えました。
最初は認知症という言葉はあえて言わなくてもいいだろうとスタッフと話し合い、「脳の病気のため」というニュアンスで伝えました。
「Mさんは脳の病気だから、同じ話を何度もしてしまうだけ。自慢をしたくて話しているのではないのです。」と伝えると、「あー、認知症か」と話す利用者さんもいました。
少なくとも、病気のための行動だから仕方がないと受け入れてくれました。
Mさんの家族より、「お医者さんから、さっきも話したよと何度も伝えると、分かることもあると聞かされたので、本人にもそう言ってくれてかまわないです」と言われたことがありました。
スタッフとして、Mさんを否定するようで、それはできないと思い込んでいましたが、本人にも伝えてみることにしました。
Mさんが繰り返し、周囲が困ってきた様子のときに、Mさんにだけ聞こえるように「同じ話をさっきもしていましたよ」と伝えました。
Mさんは「そうだったか?」と返し、それでもまた話を繰り返しますが、スタッフもまた同じ言葉を繰り返します。
何度か続けているうちに、Mさんが「あー、さっきも話したね」と笑って返してきました。
2週間も続けると、「さっきも話したんだけど、うちの夫は…」と、自分から繰り返すことを伝えていました。

まとめ

スタッフとして関わっていると、対応の正解はなんだろうと考えさせられますが、本人にも周りの方にも「本当のことを伝えること」は、選択肢の1つには入ると思っています。
今回の事例でいえば周りの方にMさんが病気であることを伝えること、そしてMさんにも「同じ事を言っていますよ」と伝えること。
ある医師は「5回同じことを言ってきたら指摘した方がいい。理由は介護者の負担が減るから」と言っています。
状況によっては「何度も伝えると分かることもある」ということは今回の事例で証明されたかなと思います。

[参考記事]
「認知症の方に同じ事を何度も言われた時の対応」

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