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見当識障害により少女に戻っている85歳の認知症女性の事例

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 Aさん(女性)85歳はアルツハイマー型認知症です。デイサービスを利用していましたが、認知症の中核症状が重くなり、家族の負担が大きいと言う事で、有料老人ホームに家族の意向で入居されました。

場所の把握ができない見当識障害

 入所前から認知症の中核症状である見当識障害により時間や場所の把握がつかなくなっていました。毎日お昼前あたりから、「ここはどこ?」と何度も尋ねてくることが繰り返されますが、その都度、「老人ホームに入所されているのですよ」と答えています。しかし、その返答に対して否定的であり、どうしてここにいなくてはいけないのかを納得してもらえず、大声で怒鳴ることが多くなりました。そのため、他の利用者さんはAさんに文句を言うようになり、それらの対応も含めて介護職員のストレスも相当でした。

子供の頃に戻る見当識障害

 「家に帰りたい」という言動が夕方近くになると起こる場合もあります。その時にはAさんは少女の頃に戻っています。これも見当識障害の一種で時間の把握が出来ていない状態です。家にお母さんがいて、「今日はお母さんに外出すると言わないで出かけているので、早く帰らないと叱られる」と言います。電話をかけたいけど、叱られたらどうしようという不安から、助けてと叫びます。その後にはハンドバッグを手から離さず持ち歩いて、バスで帰ると言い出します。

その人に寄り添った介護

 何故Aさんは不安になるのかということを、考えでみました。人手不足の中で、私達介護職員のペースでAさんの話を聞いてしまったり、会話をしてるのではないだろうか。毎日繰り返される言動に対して、この人はいつもそうだと思い、傾聴してないのではないだろうか。認知症だからどうせ分からない、何を言っても伝わらない。そういう介護職員の対応の仕方がAさんの不安をあおっているのかもしれないと考えました。

 そう思ってから、時間の許す限りAさんに話しかけて、丁寧に聞くということを心がけました。まず、朝食後には温かい飲みものとおやつ(Aさんは食事制限がないので、ご家族からおやつを預かっています)をテーブルまで持って行き、家でゆっくりしてるような雰囲気を作り、一緒に唱歌を歌ってみたりしました。歌を歌ってる時のAさんの顔が、とても楽しそうで生き生きしてるのが分かりました。女学校時代を思い出しているのか、はたまたその時代に生きていると思っているのか分かりませんが、優しい顔をしています。

 また、Aさんがかけ離れた話をしてきても、決して嫌な顔はせず、うんうんとうなずいたり、タオルを一緒に畳んだり、出来るだけ関わる時間を増やすようにしました。

チームケア

 介護の仕事はチームで行なうものです。介護サービスを利用者さんに行った結果や、情報を報告することにより、ケアの目標や修正を共有できます。チームメンバーがばらばらな介護サービスを行ってしまえば、利用者さんは混乱してしまいます。Aさんの場合、時間ともに状態が変化していくので、どんな変化がみられるのかをチーム全員が共有しながら、どこまで、どのような介助をしたら良いのかを判断しています。私がAさんに行なった対応も事細かく報告し、他の介護職員にも同じ対応をお願いしました。そうしているうちに、Aさんに落ち着きが出てきて、夕方に帰りたがる行為は少なくなりました。

[参考記事]
「認知症による見当識障害や徘徊がユマニチュードにより改善」

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