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認知症高齢者の摂食・嚥下障害に対する対応方法

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認知症と摂食・嚥下障害に関する研究は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会や言日本語聴覚学会などのトピックスとして大きく取り上げられています。
認知症患者の摂食・嚥下障害は認知症状の多様性同様に症状が多岐に渡り、介護施設や入院施設での対応が課題とされています。
そのため、摂食・嚥下障害のリハビリテーションを担う言語聴覚士、認知症のケアを専門とする認知症認定看護師など、高い専門性を持つ人材の需要が高まっています。
その背景の1つには認知症患者数の増加があります。
厚生労働省が発表した「65歳以上の認知症患者数と有病率の将来推計」によると、2012年は認知症患者数が462万人と65歳以上の高齢者7人に1人でしたが、2025年には700万人と5人に1人になると見込まれています。
今回は、認知症患者の「食べない」「うまく飲み込めない」という摂食・嚥下障害のメカニズムについてご紹介します。

摂食・嚥下障害とは

飲食物を口から取り込む事を「摂食」、取り込んだ飲食物を噛み、飲み込む機能を「嚥下」、このいずれかの過程に問題が起こっている状態を「摂食・嚥下障害」と言います。



〇摂食・嚥下の5期
摂食・嚥下機能は大きく5つの過程に分かれています。
1. 先行期
目の前にある飲食物を「食べ物」として認知します。
2. 準備期
食べ物を口から取り込み、咀嚼して飲み込みやすい形にします。
3. 口腔期
飲み込みやすい形となった飲食物を食塊と呼び、食塊を口から喉に送り込みます。
4. 咽頭期
喉に送り込まれた食塊を食道に送り込みます。この時に起こるごくんと飲み込む反射を「嚥下反射」と呼びます。
5. 食道期
食塊を食道から胃に送ります。

認知症患者の摂食・嚥下障害と対応方法

上記の摂食・嚥下の5期のうち、特に認知症患者によく見られる先行期・準備期の症状とその原因、対応方法をご紹介します。

認知症患者の摂食・嚥下障害:先行期

[症状と原因]
食事を始めない・食べ物で遊んでしまう・食べられないものを口に入れてしまう(異食)などの症状が見られます。
これらは、注意障害により食事以外のことに注意が向いてしまっている、失認により食べ物であることが分からないという原因が考えられます。

[対応方法]
食事に注意が向くよう、環境を調整することが必要です。
テレビやラジオを消す、カーテンを閉める、人が目に入らない場所で食事を摂る、声をかけすぎないなど、注意がそれる原因を少なくします。

また、食事を始める時に「今日のご飯は、鮭ですよ」「大好きな肉じゃがですよ」など、食事の内容を伝えることで食事を開始できる場合があります。
食事に介助が必要な場合や、嚥下食を使用している場合には特に効果的です。

認知症患者の摂食・嚥下障害:準備期

[症状と原因]
飲食物を口から吐き出す・いつまでもモグモグと噛み続けるなどの症状が見られます。
義歯が合っていない、顎や舌の筋肉が弱っている、口の中の感覚が弱まっていることが原因です。

[対応方法]
義歯を調整するだけでも食べられるようになることがあります。
噛んでいる時に義歯が外れていないか注意深く観察しましょう。
食べた後に義歯の裏に食べ物がたくさんついている場合には義歯安定剤の使用が効果的な場合があります。
顎や舌の筋肉が弱まっている・口の中の感覚が弱まっている場合には、食事内容の変更が必要です。
固すぎる場合には、柔らかく煮る・または嚥下食といった摂食・嚥下障害患者向けの食品の利用が有効です。
口の中でバラバラと散らばるものは食塊を作りにくいため、ある程度の粘性があるものが良いでしょう。
あんかけなどトロミのついた汁をかける方法もあります。
口の中の感覚が弱まっている場合には、冷たくする・温かくすることや、1口の量を調整すると食塊を作りやすく飲み込みまでの時間を短くすることが出来る場合があります。

その他

先行期・準備期以外の摂食・嚥下障害には、飲食物が食道ではなく気道に誤って入ってしまう「誤嚥」と呼ばれるものがあります。
誤嚥は嚥下機能の低下によって起こり、高齢者の高い死亡要因となっている「誤嚥性肺炎」のリスクを高めます。
加齢により筋肉が低下することで誤嚥のリスクがありますが、認知症患者では先行期・準備期の症状が加わるために症状が増悪することがあります。
食事中にムセる、食事前後に喉がゴロゴロと鳴る、体重が減っている、なんとなく元気が無い、熱が出ている等の症状が見られる場合には誤嚥の可能性が考えられます。
嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査などの検査や、リハビリテーションが必要な場合もありますので、主治医へ早めの相談をして下さい。

[参考記事]
「認知症介護:便を顔に塗る弄便や便を食べる異食行為への対応(実例)」

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