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オレオレ詐欺にあった認知症の女性のために行った対策(実例)

 

 知り合いのMさんは70代の女性でアルツハイマー型認知症と判定されたばかりでした。Mさんは自立歩行が可能で身体的な介護は必要なく、息子と孫の3人で暮らしていました。料理や買い物、金銭管理も問題なくできていました。

 ある日、Mさんが一人で在宅している際に孫を名乗る人物から電話がありました。

その内容は
事故にあってしまったが相手が数百万円を支払えば示談にしてもいいと言ってくれているのでそのお金を工面してほしい」
とのお願いでした。

また、
「数時間後に孫の会社の上司が家に行くのでその時に渡してほしい」
とのことだったそうです。

 Mさんは電話の相手を孫だと信じ、その提示された金額が自宅にあったため孫の上司と名乗る人物に渡してしまったそうです。実際、孫はそのような事態は起こしておらず、Mさんは詐欺にあってしまいました。

 帰宅した家族はその事を知ってすぐに警察に向かいましたが
「犯人が捕まったとしても渡してしまったお金は取り戻せない可能性が高い」と警察には言われたそうです。

 認知症を発症すると判断能力が低下してしまうことが少なくありません。認知症ではないお年寄りでも判断能力が低下して詐欺にあってしまうわけですので、認知症を患っている人であればなおさらそうです。
ですので、判断を全て任せるわけではなく、家族の方も何か対策を立てる必要が出てきます。

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詐欺を防ぐための対策

 認知症高齢者が家族との同居または独居で暮らす場合のいずれも、周辺の人々がずっと様子を確認できるわけではありません。詐欺被害だけではなく、認知症を発症することで善悪の判断がつきにくくなってしまって万引きをしたり、犯罪につながる場合もあります。

 このようにならないためには認知症高齢者に対する周辺の人々からのサポートが必要不可欠ですが、Mさんの場合には家族は昼間は全員いない状態で、近所付き合いも元々なく、それは期待できませんでした。

 そこで、お金に関しては家にはMさんのお金を保管しないようにしたうえで、成年後見制度の利用をしました。それからは成年後見人になった息子さんがお金を管理をすることになりましたので、オレオレ詐欺も防ぐことが可能になりました。まだ、Mさんは認知症の初期でお金の管理が出来ていましたが、これから症状が進行するとどうなるか分かりません。ですので、予防的な意味で成年後見制度を利用したというわけです。

 他にも通所介護施設に定期的に通うことも適切かと思います。Mさんはまだ通所介護施設には通っていませんが、症状が進行すれば考えてみてもいいのではないかとアドバイスをしました(症状の進行を緩やかにするという目的で行くのもいいと思いますとも言いました)。家族がいない時間は介護施設でお世話してもらえれば詐欺などの被害にあう確率が格段に減ります。訪問介護で定期的にヘルパーさんが訪問してくれるという状態を作ることもいいですね。

 以前、訪問介護のヘルパーがオレオレ詐欺の被害を防いだということがニュースになっていましたが、こういうことも可能になってきます。この時には息子を装った犯人から認知症の男性に「かばんに入っている小切手を失くしたから、お金を持て来て欲しい」と電話があり、急いでタクシーで向かったが、それを怪しんだヘルパーさんが警察に通報。警察はタクシー会社に連絡をして、事前に被害を防いだという事件です。

まとめ

 平成26年の介護保険法改正により特別養護老人ホームへの入所条件が要介護度3以上となりました。それに加え、少子高齢化が進行しているため高齢者が増加し、認知症高齢者が自宅で生活を営むことが増える状況となっています。

 こういった状況の中、認知症高齢者が円滑に自宅での生活を営む方法を今から真剣に考えておかなければいけません。健康なうちからエンディングノートに希望する介護方法やお金の管理について書いておくことが大切かと思います。

[参考記事]
「介護や医療の方針を決めるために必要なエンディングノートとは何か」

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