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重度の認知症の人の昼夜逆転現象が機能訓練で大きく変化

 

 特別養護老人ホームの入居者の昼夜逆転現象の改善方法と私たちが行ったケアについてお話します。

 79歳男性のAさんは、重度の認知症を患っていました。年々加齢とともに歩行に問題が出てきており、体調によっては、歩行ができない日がありました。また、夕方になると落ち着きがなくなり、多動になることも多く見受けられました。夜間、起きてくる事も多く、夜勤者と一晩一緒に動き回ったことも。

 何度か医師に相談して眠剤を試したりもしましたが、薬が効きすぎ、ご飯も食べられなくなってしまいましたので、薬なしで改善を試みました。

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日中の生活リズム観察。

 Aさんは、日中フロアのソファで居眠りをしていることが多く見られました。筋力や体力低下にて以前より活動量が減ったのが、日中寝てしまう原因だと考えました。

 起きているとAさんの見守りでかなりの時間が割かれてしまうため、転寝しているときは、最初の頃はあえて起こすことはしなかったです。しかし、こういう対応をしていたせいで、日中の活動量は減り、昼夜逆転は酷くなっていく一方でした。

他職種との連携。

 日中の活動量を増やす為に機能訓練士やナースと連携をとり、日中の機能訓練の変更をしました。まず、今まで筋力低下防止のために行っていた手足の運動に加え、手引き歩行の散歩(室内)を加えました。歩行ができない日は、体操を行うようにしました。変更初日はナース見守りの中で行いました。

 最終目標は、「ベランダに出て、日を浴びながら散歩をすること」にしました。

日中の活動量の増加によって出た変化

 こうして、他職種との連携もあり、日中の活動量が増えたAさんはというと、日中ソファで起きている時間が2~3時間ほど増え、夜間の起きだしが1~2回に減ったのです。以前の夜間帯の起きだしは酷いときだと、1時間半に1回ペースで、平均すると1日6回ほどありました。あまりにも多いので、職員はAさんを車椅子に乗せ一緒に巡回に行ったこともありました。それがここまで起きだしの回数が減ったのです(昼夜逆転現象の改善)。

 また、朝食後のトイレ誘導後そのまま室内を散歩できるようになりました。今までは歩行が不安でしたが、訓練で筋肉が付いたお陰で、安定するようになりました(午前中のほうが体力もあり歩行が安定しています)。こうして、日中の活動量が増えると下肢の浮腫みも解消されました。筋肉を適度に動かすことが血流の流れを良くしたようです。

 下肢の浮腫みが軽減された事で、今までは足の上がりが悪く、引きずるような足の運びだったのが、足の上がりがしっかりし、上体の体重移動ができるようになったのです。その他にもAさんは便秘気味傾向だったのですが、便意も出てくるようになりました。

 機能訓練を変更し、多くの変化が現れたことで、我々職員は筋肉を付けること(筋肉を減らさない)の重要性を再認識させられました。

[参考記事]
「認知症患者に対するリハビリテーションの必要性」

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