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認知症介護の実例:便を壁に擦り付ける弄便の原因は紙パンツ

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 入居されて2か月のBさん(70代男性)はそれまで自宅で過ごされていましたが、ある問題行動が原因となり、ご家庭での介護が出来なくなり施設へ入居となりました。その原因が弄便です。弄便とはその名の通り便を弄る(いじる)行為です。

「若いころは厳格な父親だったのに便で遊ぶようになるとは今でも信じられない」
「怒っても止めない」
「壁や床に便を擦り付ける」とBさんの娘さんは語りました。

遊んでいない。

 弄便とは「便をいじる」という意味ですが、子供のように遊んでいるわけではありません何かしらの理由があるからこそやっているのであり、まずは「なぜ弄便を行っているのか」を考えなければなりません。

 弄便を行う理由で代表的なのが「便を認識できない事」です。認知症により忘れることが多くなりますが、「便が汚い物であること」は忘れてしまっています。便が汚いことを認識できないので、自分が出した排泄物に興味を示す→気になり触る→手に付いたから床に擦り付けるというのが順番です。しかし、子供の頃に覚えた「排泄の仕方」は大抵は覚えています。

 何故覚えているものと忘れているものがあるのかというと、排泄の仕方は体で覚えるものです。子供のころ、便器で排泄を行っても便器からはみ出てしまったという記憶はないでしょうか?失敗を繰り返し、体が覚えてしまっているから相当認知症が進行しないかぎり忘れることはありません。対して便が不潔という認識は頭で理解する事なので認知症の進行と共に忘れてしまいます。

 さてBさんも同じく便が汚いものであると認識が出来なくなったのでしょうか?Bさんの弄便への対応をしていく中で床や壁に擦り付けることはありましたが、怒ったような表情でしていることに違和感を覚えました。弄便をしていても悪意がないので笑っていたり無表情であることが多いのですが、何故怒っているのかが分かりませんでした。

原因は紙パンツ?

 ご家庭で弄便をやり始めた時期の聞き取りを実施し、その時期に何かBさんの生活で変わったことは無かったかと聞くと一つの原因が出てきました。それは紙パンツの着用です。

 尿で失敗をするようになりトイレまで間に合わず、自宅内で一日に何度も漏らしてしまう事が続き、仕方なく紙パンツの着用をするようになりました。弄便を行っている際に怒っていること・弄便を行い始めたのが紙パンツの着用と同じ時期と考えると紙パンツの着用が嫌で拒否を示すために弄便を行っているのではないかという結論に至りました。

紙パンツを外す

 そこで試しに紙パンツを外してみることにしました。外すと言っても完全に外してしまうと尿の失敗をしてしまうのでリハビリパンツを使用しました。陰部部分に吸収シートが付いており、少しなら大丈夫です。

 着替えの際に紙パンツではなくリハビリパンツを渡すと明らかにBさんの様子に違いが見られました。履き心地や手触りを何度も確かめています。それ以降は尿の失敗は増えてしまいましたが、弄便を行う事は見られなくなりました。やはり紙パンツの着用が嫌だったのではと思います。

直ぐに紙パンツに逃げるのは虐待

 尿失敗・便失敗が続くことで介護者は直ぐに紙パンツに逃げてしまう事があります。確かに着用することで失敗は減るかもしれませんがその方が望んだことではありません。今回のケースのように抵抗として弄便を行われる方もいます。安易に紙パンツを使うことでその方を傷つけてしまっていることを常に考えなければなりません。

[参考記事]
「認知症介護:便を顔に塗る弄便や便を食べる異食行為への対応(実例)」

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