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認知症で5秒記憶できない女性が2分記憶できるようになった訓練

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Kさん(96歳女性)はアルツハイマー型認知症で特別養護老人ホームに入居しています。
下剤以外の薬は内服しておらず、認知症以外の病気はありませんでした。
そのため、自分で食事を食べることと歩くことはできます。

ただ、認知症が重度の為、話が噛み合わないことも多くあり、コミュニケーションをとることは容易ではありません。
昔の記憶は殆どありませんでした。
覚えているのは息子さんの名前と自分が住んでいた地名だけでした。

息子さんのことは名前は覚えていますが、息子さんを見ても息子さんだとは認識できません。
職員や家族も含め、周りにいる人全員が、Kさんにとっては「全く知らない人」でした。

記憶障害に対する対策

職員の名前を教えた直後は復唱は出来ても、その数秒後に「この人は誰ですか?」と尋ねても「誰だっけねぇ?」と笑顔で答えます。
例えば「この人は近藤です」と教えた後に、「近藤さんね。」とまず理解をしますが、その後すぐに「私の名前は何か分かりますか?」と聞いても「誰だっけなぁ?知らないなぁ。」となってしまっていたのです。
この間は5秒から10秒くらいですが、これくらい短い時間も覚えていることは出来ません。

Kさんはもともと明るい性格で、よく歌を唄い、周りを明るくしてくれるタイプの可愛いおばあちゃんでした。
そのため、周りの職員や入居者からは可愛がられる存在です。
そこで、この性格を生かして職員や他の入居者との会話をさらに増やせば記憶力が強化できるのではないかと考えました。
例えばあの人は「鈴木さん」だよとKさんに教え、「呼んでみて」とお願いします。
そうするとKさんは「鈴木さーん」と呼んでくれます。
しかし、次に呼ぶ時にはもう「鈴木さん」を忘れてしまうので、また同じ名前を教えて呼んでもらいます。
次第に「〇〇さん」や「〇〇ちゃん」という職員や入居者の名前を覚えている時間が伸びてきたのです。
何日もそれを繰り返し行っていくと、Kさんの気分にもよりますが、2分間はその人の名前を覚えていられるようになったのです。
約5分後に急にその職員を呼んだこともありました。
名前を呼んでもらえたことのない職員は嬉しくて涙が出たほどでした。
何もわからない、話が噛み合わない、直ぐに物事を忘れてしまっていたKさんが、2分間も人の名前を覚えて入られたことが私たちは奇跡だと思っています。
記憶を失うばかりで、出来ることが少なくなってくる中で、改善されることがあるなんてと私たちは思っていたのです。
Kさんは、認知症は失うことばかりだと思っていた私たちに、失うばかりではない、改善することもあるのだと、希望を下さいました。

その日々の中で徐々に記憶力が改善されて行ったとしか言いようがないのですが、人と話すことが更に増えたことで脳の神経ネットワークが刺激されて、覚えていられる時間が増えたのではないかと考えています。

そんなKさんは今でも大きな声歌で唄い、元気に歩き、食事も自分で摂る生活を続けてます。

[参考記事]
「認知症で発症しやすい記憶の種類(短期記憶、長期記憶)」

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