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入浴拒否の強い認知症利用者への対応に映画を利用

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利用者のTさんは年齢がまだ70歳と若い男性の方ですが、アルツハイマー型認知症と診断されています。
奥さんとは離婚をしており、子供とも離婚して以来会っていないのでずっと独居生活をしています。

トラック運転手の定年後は家にこもりがちになり、いつしかうつ病も発症してしまいました。
家の中は掃除もできない、お風呂も入れない状態なので衛生的にも良くない状態です。
役所の方がTさんの状況に気付き、ケアマネジャーをつけ、近くに住んでいたTさんの妹にも協力を仰ぎ、ヘルパーを導入した事でなんとか生活できるようにはなりました。

自宅のお風呂場が壊れているので入浴はできませんでしたが、独居のTさんに家での入浴はリスクがあるという事で、デイサービスの利用開始が決まりました。

入浴拒否

Tさんは普段は物静かな方ですが大好きな洋画や旅行の話になると、あまり表情には楽しさを出しませんでしたが普段より言葉が多くなる方です。
デイルームでテレビを見たり、スタッフと会話をして静かに過ごすのが好きでいつも落ち着いた様子で過ごしていました。
ですがデイサービスの目的である入浴のための声かけをすると、途端に怪訝な顔をしてしまいます。
そしてあまりにしつこく声かけをすると怒り出してしまい、家に帰ると言い出してしまいますのであまり何度も声はかけられない状況でした。
Tさんはお風呂が嫌いというわけではありませんが入るのが面倒臭いという思いがあるようでした。
また家のお風呂が壊れているのに「家でいつでも入れる」という思い込みがあるようでした。

デイサービスの利用が週3回あるのに一度も入ってくれない事が1週間ならまだしも、1、2カ月は続いてしまう事もありました。
ケアマネジャーには「無理のないように進めて」とは言われていたのでTさんに強要はしていませんが、さすがに数カ月にもなってしまうと衛生的に問題があるとスタッフで話し合い、なんとかTさんが入れるようにできないかと方法を探していました。

入浴ができる方法を聞いてみる

認知症ではありますがTさんはまだ若い為か、すぐに全部を忘れるという事がありませんでした。
短期的な記憶なら短時間は頭に残っており、少し前にお風呂の声かけをした事を覚えているので忘れた頃に声かけをしてみるという方法は取れません。

そこでTさんに直接「どうしたらお風呂に入りたくなりますか?」と冗談を交えながら会話をしてみました。
Tさんはいつもの淡々とした口調で「映画を見たら入る」と言ったので試しに映画のDVDをTさんに見てもらった後、声をかけてみました。
すると「わかった」とすんなり入浴を受け入れてくれたのは驚きです。
後日も同じように声かけをしてみると、こちらもまたすんなりと受け入れてくれたのでTさんが今後も入浴できるようにする為、DVDを何本か購入しました。
Tさんは毎回映画を見てからの『機嫌の良い状態』であればお風呂に入ってくれる事が分かりました。
ですが見てから時間の経った後に声かけをすると、もう映画の事は忘れているので拒否されてしまいます。

それでもTさんが入浴できるきっかけを見つけられたのは大きい一歩でした。
何度か入浴ができるようになったTさんに、たまに映画の前に入浴の声かけをする事もありましたが拒否なく入ってくれる事もあったので、入浴に慣れてきたんだと思える様子も見られました。
認知症を持っている利用者でも好みや趣味はずっと変わらない人もいます。
中にはずっと趣味だった編み物などを認知症になったらパタッと止めてしまう人もいますが、Tさんは違いました。

Tさんの場合、DVDを見せるという交換条件にはなりましたが、入浴をしてもらう目的は達成しました。

[参考記事]
「介護のプロはどのように入浴拒否の認知症の人に対応しているか」

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