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ベッドの柵に頭をぶつける自傷行為がある認知症の方への対応

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年齢は95歳、女性、要介護5、認知症とパーキンソン病、脳梗塞の後遺症があるMさんのお話をします。
Mさんは
特別養護老人ホーム付属のショートステイを利用されていました。
一日をベッド上で過ごすことが多く、食事と入浴の際にはリクライニング車イスに移乗し、離床されます。
食事は、手指の硬縮はありますが自力摂取可能です。
それ以外は全介助が必要な方です。
コミュニケーションは取れますが、脳梗塞の後遺症で言語障害があり、聞き取りにくい事や訴えが分からないことがあります。

自分の思い通りにいかないと自傷行為がみられる

Mさんはショートステイの時に、気に入らない他入居者や職員に話しかけられたり、介助されることを嫌っていました。
自分の嫌いな入居者や職員が自分の視界に入るだけでも怒りだします。
また『自分の悪口を言っている』『暴力を振るわれる』といった被害妄想がありました。

怒ると嫌いな入居者や職員の名前を叫んだり、『死ねー』『消えろ‼』と暴言が見られます。
特に大抵の女性職員が嫌いでした。
Mさんは男性職員が好きで、何かあるとお気に入りの男性職員を呼んでほしいと訴えます。
Mさんが特定の入居者を嫌う理由も、お気に入りの男性職員とその入居者が仲良く話しているところを見たからだと思います。

叫んだり暴言を吐いても、気に入った男性職員が話を聞いてくれないと、今度は体を揺らして車イスからわざと落ちようとします。
理由が分からなかった時は、車イスに滑り止めマットを付けたりしましたが、その後も車イスから落ちる事がありました。

自傷行為に対する対策

事故をモニタリングするなかで、Mさんが自分から落ちていることが分かりました。
このような状態だったため、Mさんは普段は、リビングではなくキッチンで過ごすことになりました。
キッチンからだと他入居者は見えませんし、近くには常に職員が居ます。
落ちようとすればすぐに対応できるようにしました。
Mさんもこの対応で少し落ち着いたようにも見えました。
また特別養護老人ホームへ入所してもらった方がいいのではないかとの意見が出ましたが、環境の変化で精神的に不安定にならないように居室を変えない方が良いと結論付けて変更はしませんでした。
しかし、Mさんの自傷行為はエスカレートしていきました。
怒りが収まらないときにはベッドからも落ちようとしたり、壁やベッド柵に頭をぶつけます。
そのため、頭や手足には内出血や表皮剥離ができてしまいました。
さらに、コールのひもを首に巻いて『死んでやる』と叫んだり、車イスからも体を前後に揺すって正面から落ちようとするようになりました。

Mさんの生活環境の見直し

Mさんの行為が、命の危険に及ぶようになったため、Mさんが落ち着いて生活するためにはどうすればよいかを話し合いました。
話し合いの結果、Mさんには特別養護老人ホームの居室への変更が必要ではないかという意見が出ました。
ショートのユニットは入退所が頻繁にあります。
自宅から来て帰るという事が毎日あり、職員も特別養護老人ホームのユニットに比べると入退所の荷物チェックや居室作り、連絡帳記入などでバタバタしています。
この状況が、Mさんにストレスを与えていることがよく観察していると分かってきました。
以前は特別養護老人ホームへの入所は環境の変化による影響を考えて止めていましたが、自傷行為がエスカレートしている現状ではそうせざるを得ませんでした。
ご家族に相談したところ、お願いしますとのことでした。

特別養護老人ホームのユニットに変更する際には、比較的のんびりとした雰囲気のユニットへ変更しました。
また、環境が大きく変わるため、Mさんが生活に慣れるまでショートステイの担当職員も一緒に異動することにしました。

居室変更後のMさんの変化

特別養護老人ホームでも最初は、車イスからのずり落ちやベッド柵に頭をぶつける行為がありましたが、コールの線を首に巻いたりということはなくなりました。
また、特定の入居者を嫌ったり暴言や嫌みを言うような事はなくなりました。

特別養護老人ホームのユニットでは、Mさんが車イスからずり落ちようとしても、キッチンではなく、他入居者と一緒の空間で過ごしてもらいました。
職員もそのようなときは、Mさんの隣に座り話を聞くようにしました。

そして現在でも、自分の要望が通らず職員に対して怒ったり、お気に入りの男性職員を呼んでほしいと言うことはありますが、自傷行為はなくなりました。

[参考記事]
「認知症の方に対する介護(ケア)のポイント」

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