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認知症の人に対する服薬管理の注意点。薬袋を飲んで救急搬送された事例

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 Fさんは認知症と診断され、特別養護老人ホームに入居されました。身体的な問題は特になく、ご自身で食事もでき、入浴も出来ます。職員のお手伝いも率先して行って頂けるため、職員も安心していました。入所時の理由としてはご家族の方が遠方に住んでおり、Fさんの面倒を見るのが難しいという理由だったために、施設側もそこまで大変な方ではないと安易に考えていた所はありました。

 今回はFさんの事例を元に、認知症の人に対する服薬管理の注意点に関して説明していきます。

薬袋の紛失

 入居者の殆どは毎食後に服薬を行っています。高齢なので何らかの病気に罹っているからですが、Fさんも認知症に関する薬を服薬されています。自分で服薬することが難しい方は職員が介助して飲んでいただきますが、人によっては「誰かに飲ませてもらうなんて恥ずかしい」と嫌がり、手を震わせながら自分で飲まれる方も居ます。Fさんも同様で自分で飲もうとしますが、職員はFさんなら大丈夫だろうと何の根拠もなく決めつけていました。

 私の勤務していた施設では薬の入っているビニール袋をそのまま食事トレーの上に置き、第三者が飲み残しや飲み忘れが無いかを確認していました。1回の服薬ミスにより、状態が悪化するケースもあるため念入りに職員による服薬管理を実施していました。その際、Fさんのトレーに、薬の入っているビニール袋が無いことに気付きました。他の職員にも報告し、探しますが見当たりません。Fさんのポケットや周囲の方々のチェックを行いますが一向に出てきません。どこに無くしたのか考えている最中に起こってしまったのです。

意識を失うFさん

 職員が考えている最中に突然Fさんが苦しみだし倒れてしまいました。明らかに危険な状態であり、直ぐに救急119に電話を入れました。担当職員と施設長が付き添いそのまま病院に救急搬送されました。しばらくして二人が帰ってきて、命に別状はないとの報告を受け、職員一同安心しました。念のためにFさんは2、3日入院されるとのこと。

 なぜ倒れたのですか?と聞くと涎(よだれ)で濡れてクシャクシャになったビニールを見せてきました。一瞬何かな?と思いましたが、数秒後すぐに分かりました。それは食後に紛失していたFさんの薬入れのビニール袋だったのです。しかも封は切られておらず袋の中には薬が残っていました。

職員の安易な考えが事故を招く

 その後、Fさんは3日後、特に後遺症もなく戻ってこられました。しかし職員の安易な判断で事故を招いてしまったのは言うまでもありません。Fさんは入居当初より殆どの事を自分ですることができ、服薬も問題ないだろうと勝手に考えていた職員が多かったのです。今回直ぐに気付き対応できた為に最悪のケースは防ぐことが出来ましたが、場合によっては亡くなっていたかもしれません。そうなると家族から訴えられるなどして大問題に発展します。

 このように認知症の方は進行具合により様々な症状が出てきます。行動の一つ一つをじっくり観察することで、今までの行動とは違った部分が見えてくるはずです。Fさんの場合は力がかなり衰えており、薬袋の封を切ることが難しくなっていました。そのため、何度も切ろうと試したが、切れなかったためにそのまま口に入れようとする場面が何度かあることが職員からの聞き取りから判明しました。本来であればこの情報を他の職員に共有し、この時点で何か対策を立てるべきでした。

まとめ

 服薬は毎日行う大切なことです。一回の服薬ミスが認知症の進行を進めたり、情緒不安定になるケースもありますので、職員による服薬管理は大切な仕事です。入居者さんの中には自分で飲みたいという希望を持つ人もいるので、その際には職員の介助は難しいかもしれませんが、少なくても確実に服薬が出来たかの確認をその場で行わなければなりません。床に薬を落としているケースや飲まないでポケットに入れてしまうこともあるからです。

 通常はここまでの確認で十分なのですが、今回のような異食行為もありますので、対策のレベルをもう一段上げておくことの重要性を学びました。薬が入っている包装を取ってあげてから提供をしたりと手間がかかりますが、今回のような事故が起きないようにするためには大切なことです。

[参考記事]
「認知症により新聞や雑誌を食べてしまう異食行為への対応」

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