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送迎車両から降りない認知症高齢者に対する対応(実例)

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これまでの経緯

Yさん90歳代女性、重度の認知症を患っており、身の回りのほとんどに手助けが必要な状況で、同居する長男やその嫁、孫の顔の理解もできない状況の方です。
長男夫婦は、在住する市内において、食品の製造販売業を営んでおり、休業日しかYさんの介護ができないため、毎日型の通所介護サービスと毎週末の短期入所サービスを併用利用している現状です。
Yさんの身体状況は、自立歩行は不可能ですが、介護者による手引き歩行は可能な状態で、自らの意志で目的地に向かうという行動はできません。
通所介護サービスなどの施設内では、転倒による怪我の防止という観点から、車いすによる移動動手段をとっていますが、時に妄想状態になることもあり、単独で車いすから立ち上がろうとし、過去には転倒してしまったこともあります。
食事や排せつなどにおいても、食事はスプーンで食べ物を口へ運んであげる必要があり、排泄も一定の時間間隔でトイレに誘導し、失敗防止のために紙おむつを着用している状況です。

送迎車両から降りない

Yさんは毎日型の通所介護サービスを利用していますが、特に朝のお迎えの時、送迎用車両には手引き歩行と座席への誘導により、スムーズに乗車してくれるのですが、事業所へ到着し、降りようとするときは、ほぼ毎回のように困ったことが起きるのです。
Yさんは「カズ!?」「カズは居るのか!?」と大声で呼びだすのです。
「カズ」とは、Yさんのお孫さんのことで、現在40歳代なのですが、認知症を患っているYさんにとって、幼少期のカズさんのままのようです。
通所介護サービスの利用初日にあっては、一向に送迎車両から降りてもらえず、数十分ほど玄関先で停車する車両の中で「カズ!?」を繰り返していました。

対応策の1つとして

さて、帰りの送迎はというと、Yさんの自宅に到着すると、カズさんのお嫁さんが出迎えてくれ、「カズ君はお昼寝だよ」と言い、Yさんを上手に手引き歩行で自宅内へと迎え入れました。
同一敷地内に2棟の住宅が建っており、1つはYさんと長男夫婦、2つ目に孫(カズさん)夫婦が暮らしている状況です。
送迎車両はこの2つの建物の間に停車し、乗降をするので、帰宅時に車が停車すると孫嫁が出迎えてくれて、Yさん(長男夫婦)の家の中へ誘導します。
今朝の送迎時の出来事を孫のお嫁さんに話すと、「いつもそうなんですよ。だから上手く今みたいに話を合わせるのです」と回答がありました。
孫のカズさんが昼寝をしているというのは方便であり、実際には不在でした。
明日からの送迎時においてはYさんの混乱を回避するためにも方便を使うことの承諾を孫娘から得たため、以降、カズさんに登場してもらうことを、通所介護事業所のミーティングにおいて共有しました。
送迎車両の降車時だけではなく、食事や入浴の拒否も見られるようになりましたが、例えば「カズ君は先に食べられました」や「カズ君は先にお風呂に入りました」などと、会話を合わせることにより、Yさんの不安が解消され、落ち着いた生活を送る日々が多くなりました。

問題行動の解消は完全ではない

特に送迎時における降車にあっては、カズさんに頻繁に登場してもらうことになりましたが、Yさんが降車を拒否することはほとんどなくなり、スムーズに事業所内へ足を運んでくれることが多くなりました。
しかし、何回かに1回は拒否が起こります。
Yさんがカズさんのことを先行して発言する場合は、「カズ作戦」が有効ですが、Yさんがカズさんの名前を出していない時は、この作戦はほぼ役に立たません。
そういう時には良くないことですが強引気味に降りていただくこともあります。
まず足を約90度車のドア側へ回転させ、続いて上体側を90度同じ方向へ、その後両手を引くように降り、手引き歩行へと連続させた誘導をとります。
こうしても前の座席のシートやヘッドレストへしがみつき、頑として動いていただけないこともあります。
そういう時には、あまり良くはありませんが、隣の席へ職員が乗り込み、押し出すように降車をしてもらうこともあります。

Yさんのいわゆる介護拒否にあっては、結果として誤魔化して誘導するということになってはいますが、Yさん混乱を回避し、安定した生活を送ってもらうための方便として、このようなケースに限定した介護の手法として活用しています。

[参考記事]
「デイサービスへ行きたくない認知症高齢者に対する対応」

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