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認知症により理解・判断能力が衰えた着付けの先生の事例

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 アルツハイマー型認知症の80代のI様(女性)は、60代でご主人と離婚し、分譲マンションに一人で住んでいます。何十年という長い間、着付けの先生をしており、全国各地の着物イベントに参加されるなど行動的でした。軽度の認知症を発症してからは仕事を他の人に任せて、デイサービスに週二回、休まず通っています。

【施設では元気、元気、元気】

 I様は話し方がとても上手で、相手の方に配慮をした言葉使いをします。そのため、多くの方の話し相手になることがあります。挨拶も大きな声で丁寧にされ、常に笑顔で過ごされています。歩行状態はやや体力の衰えから、時折、杖を突くこともあります。

【兆候は忘れ物が続く】

 毎回、デイサービス利用時には連絡帳を持参することになっていますが、1年経った頃から忘れることが多くなってきました。それまでは忘れることがありませんでした。1回目はたまたまかと思いましたが、2回、3回と連続して忘れることがあり、「これは認知症が進行しているのかな?」と思うようになりました。

 ケアマネージャーに相談し、家族等から最近の生活で変化がなかったかどうか確認してもらいました。家族は遠方に住んでおり、週に1回、I様の自宅に訪問できれば良い方です。家族からは、「高齢になって物忘れが多くなっている」との話を聞かせてもらいました。

【ある日、着付けができなくなった】

 若い頃から何十年と着付けの先生として指導してきた経験があるI様は、突然、着付けの方法が分からなくなってしまったとの事です。その時はいつもより時間がなく、早く着付けをしなくてはならない事情がありました。I様は、かなり戸惑い、他の方にお願いしたとの事です。

 同時に、自宅での家事、特に料理の調味料の入れ忘れ、味噌汁に味噌を入れなかったなど普段行っていた事が、徐々に出来なくなっていました。これに気づいたのは娘夫婦がI様の自宅を訪問し、料理を作ってもらった時の事です。最初は味噌汁に味噌が入っていないため、「これは味噌汁なの?味噌入っていないよ」と話すと、「忘れてしまった」と笑っていたとの事です。

【本人が悩む】

 その後、I様より、今まで出来ていた事が出来なくなってきましたと相談を受ける事がありました。あまり頻繁にあるようでしたらかかりつけ医に相談した方がよいと話をさせていただきました。すると、かかりつけ医からは、「認知症による理解・判断能力障害があります。今まで出来ていた事でも障害が起きているため、正しく、今まで通りにできなくなります。Iさんの場合、今まで出来ていたこと全てが出来なくなるのではなく、今までのようなスピードで判断が出来なくなっている」と診断されました。理解・判断能力障害は認知症の中核症状であり、認知症の方であれば多少はあります。

 かかりつけ医からは、ゆっくり時間をかけて集中して取組めば出来ますと聞きました。この件につきI様本人が一番びっくりしていました。ケアマネージャー及び家族と相談し、一つの事をゆっくりでも出来るようにI様に自信を持たせようと考えました。

【自身を取り戻す】

 誰でも今まで出来たことが出来なくなると気持ちが複雑(鬱)になります。しかし、I様はがんばって、一つの事(料理)をゆっくりと考えて行うようになりました。施設では、料理の手順を紙に書いてもらい、その通りに行なえるように練習を行いました。紙に書いた内容を見ながら料理をすることでスピードは早くはないものの、きちんとした料理が作れるようになりました。そして、自信を取り戻すことができました。我々は日々、I様に協力できるよう工夫をして本日も取組んでいます。

[参考記事]
「認知症の中核症状って一体どんな症状なの?」

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