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認知症の方への水分調整とレクリエーションで徘徊頻度が減少

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 Hさん(80歳女性)は78歳の時にアルツハイマー型認知症を発症しました。当初は娘様と同居し、デイサービスやショートステイを利用しながら在宅で生活をしていましたが、自宅での帰宅願望がみられ徘徊が酷くなりました。24時間所在確認が必要なくらいのレベルで、同居の娘様も仕事ができない状態となり、特別養護老人ホームへ入所することとなりました。

入所当時のHさんの様子

 Hさんの主な認知症としては、昼夜とはず帰宅願望が強く、他利用者様と話をしていても「いつ帰れるのかしら?」と仰り何度も職員へ「私いつ帰れるの?」と確認しに来てはエレベータ前から動こうとされませんでした。特に夜間帯でも不眠となり他の方の部屋へ入り、寝ている方を起こして「どうやったら帰れる?」と聞いたり歩き回られることがありました。

 そして次第に午前中は傾眠気味となり、午後から帰宅願望によりうろうろと歩き回り落ち着かなくなり、失禁なども増えてきました。そのため、私たち職員は「とりあえず落ち着いて過ごしてもらうこと」がケアの目標となってしまい、ありきたりな塗り絵や集団レクリエーションをしてその場をやり過ごしていました。

Hさんへの取り組み

 私たちは「認知症 自立支援ケア」の研修へ参加していたこともあり、Hさんへの自立支援ケア取り入れることにしました。自立支援ケアの理論は主に認知症を治すのは薬ではない!認知症はケアで治すもの!というものでした。

 主なケアとしてはまず、水分摂取量の増量。認知症の症状が病気からきているものなのか、それとも水分が足りていないために意識障害や脱水症状を起こしているのか?ということからまずは症状の原因を明確にするために、水分摂取量を増量し一日1500ml以上の水分摂取を目指しました。

 次に、水分摂取量が安定してくると運動を取り入れていきました。朝からしっかりと水分を取って頂くことで覚醒状態もよくなり、運動への参加や歩き回っている際、「帰宅願望には何か理由があるのではないか」と目を向け行動の中にあるサインを見逃さないよう寄り添うようにしました。

また、レクリエーションなどへの参加もこちら側から適当に提供するのではなくHさんの生活歴をもとにどのような事に興味があるのかを探り、Hさんが日課として取り入れられるようなものを考えました。Hさん個人の1日のタイムスケジュールのようなものを作成してHさんに役割を持った生活をしてもらえるように取り組みました。

 具体的には朝食時にはお茶の準備を手伝って頂き職員と一緒にお茶とおしぼりを配っていただく役割をしていただき、食後は使用後のエプロンを一緒に洗濯に回して乾いたものを畳んでいただく。午後からは他の利用者の方と一緒に広告でテーブルに置く用の小さなくず入れを折って頂く。おやつ後には夕食の準備としてお米を一緒に研いで焚く準備をし、夕食時、出来上がったごはんをお碗に取り分けて頂くなど。Hさんが自宅で主婦として普段やってこられたことを日課として取り入れることにしました。

取り組みから見えたHさんの変化

 水分摂取量が増えたことで午前中からしっかりと覚醒されるようになり、こちら側からの提案にも少し興味を示すようになってきました。職員はHさんの行動を決めつけず、Hさんを制止するようなことはせず、Hさんの思いに寄り添い行動するようにすることでHさんとの信頼関係も築けるようになってきました。

 Hさんの徘徊の理由としては主に①排泄を催したとき。②専業主婦をしていたため食事の準備や家のことをしないといけないと感じたときの2点でした。そのため、一日のタイムスケジュールを塗り絵等ではなく掃除など職員と家事のようなことを一緒に行うことで落ち着きがみられるようになってきました(徘徊の頻度は極端に減りました)。また、その姿をみて周りの方からお礼を言われることで笑顔も見られるようになり他利用者の方とのなじみの関係も築けるようになってきました。

まとめ

 この自立支援の取り組みによりHさんにとって施設が自宅となり役割を持って落ち着ける環境を作ることができました。また、職員はこの取り組みでHさんだけではなく、他の利用者の問題行動にもどのようなサインが隠されているのかをみれるようになってきました。

 レクリエーションに関しても誰もが同じことをするとは限らずその方の生活歴、最初のアセスメントをしっかりとすることでその人らしさを尊重したことを提供することの大切さを学ぶことができました。

 Hさんは今でも施設の中でいきいきと生活され、その姿を見たご家族も一人で介護を抱え込むことでお互いが苦しんでしまっていた、支援に頼ることでお互いにとって良い距離感で認知症と向き合えるようになり、笑顔で母親に接することができるようになったと語っておられました。

[参考記事]
「捕虜を恐れて徘徊する認知症の男性についての事例」

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