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デイサービスに大金を持ってくる認知症女性に対する対応事例

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●認知症があってもお金への執着は残る人もいる

重度認知症のSさん(82歳女性)は週3回、デイサービスを利用されています。
やや歩行は不安定ですが身体はかなり自立度が高い反面、認知症状が強く、いつも理解しがたい行動ばかりを取っておられ、ご主人もいつも困ってらっしゃいました。
特に記憶力の低下は著しく、2~3分前の事を忘れられます。
それにも増してご主人や介護スタッフを困らせる一番の原因として「お金への執着」がありました。

●「お金を盗られた」冤罪被害に合う利用者さん

デイサービスの利用時に必ず毎回おっしゃるのが「この人にお金を盗られた」というセリフです。
しっかりと、近くの別の利用者さんを指差して指名までされます。
Sさんはお金を持ってこられないため、もちろんそういった事実はなく、また「加害者」とされる利用者さんも毎回違います。
同じテーブルの方は慣れたもので、「はいはい、後で返します」と合わせてくれるため、Sさんも「ちゃんと後で返してよ」と言ってしばらくしたらその会話自体を忘れておられます。
しかしそんな事を知らない利用者さんが加害者扱いされたら大変です。
特に男性の利用者さんが加害者扱いされたら、血の気の多い男性利用者さんだと取っ組み合いのケンカになりそうな勢いで口論が始まります。
そんな時は、「両者の話を聞きたいから、別々に話をしましょう」と提案をして二人を引き離します。
そしてSさんに対しては少し歩いて別の所に行くと忘れてくれるのですが、加害者にされた男性利用者にはある程度Sさんの事を説明する事によって納得していただけます。

●ある日突然、大金を持ってこられる

Sさんが一度だけ、デイサービスに大金を持ってきた事がありました。
最初はスタッフも気づきませんでした。
いつもデイではお風呂に入られるのですが、なぜかその日だけは頑なに入浴を拒否されました。
認知症の方で入浴を拒否されるのはよくある事なのですが、Sさんは大のお風呂好きで入浴に関しては皆勤賞をあげたい位、必ず利用日には入られます。
そのSさんが、「今日は入りたくない」と拒まれるのです。

スタッフみんなが首をかしげながら、「なぜだろう?」と相談しました。
念のため自宅に電話をしてご主人にその旨を伝え、変わったことはなかったか聞いてみましたが、特に変わった様子はなかったとのこと。
看護師に相談したところ、バイタル的にも所見でも問題なく全然入浴には差し支えないとの事で、なんとか入れてみようという事になりました。

Sさんはお花が大好きなので、「あちらに綺麗な花があるから見に行きましょう」と言ってまずは脱衣所までお連れしました。
脱衣所に到着した時にはお花の事は忘れられています。
しかし入浴したくない気持ちだけは忘れず、「ここお風呂?今日は入らないわよ」とおっしゃいます。
どうして入りたくないのか、何度も何度も聞いてみると、Sさんはやっと重い口を開いてくれて、「今日は大金を持ってきているから入りたくない」とおっしゃったのです。
そしてお金を見せてくれたのですが、腹巻の中の封筒には約30万円の現金が入っていました。
もしこの状態で「お金を盗られた」となると本当に大変な事になりますので、すぐに他のスタッフ2名とSさんとで金額を確認し、紙に日付と金額を書いてSさんに署名をしていただきました。
そしてそのような状態ですので、その日は入浴を中止とし、ご主人に連絡をしました。

びっくりしたのはまだ続きます。
実はSさんがそのような大金を持っている事をご主人は知らなかったのです。
たぶんSさんが大事にヘソクリを貯めていたのでしょう。
帰りの送迎ではいつもは数人の利用者さんを同じ車でお送りするのですが、この日だけはSさんとスタッフ2名のみで単独でお送りし、先ほどSさんに署名してもらった紙を見せ、ご主人からの声掛けでSさんに現金を出してもらって金額を確認してもらい、無事に現金輸送なみの送迎が完了しました。

デイサービスでは現金を持ってこられる方は金額の大小に関わらず数名いらっしゃいますので、その事が有ってからは、
①基本は現金を持ってこない
②もしどうしても持ってきたい(現金を持っていないと不安を感じる方もいる)時は多くても1,000円まで
③もし現金を持ってきて紛失などがあっても一切の責任を負わない……このように取り決めて利用者さんにご案内をしました。

[参考記事]
「軽度認知症による物盗られ妄想を解消する3つの対応策」

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