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認知症による強い妄想がある人への対応

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 サイトウさん(仮名)は、77歳、体重が90キロ近くある男性、認知症の他に、関節痛や糖尿病性神経障害で車いすの生活です。訪問介護に行くスタッフは、かなり経験を積んだ人でも苦労します。

 サイトウさんの朝の介護メニューはシャワーです。まずは介護ベッドから車いすに移動させて、バスルームへ、そこでシャワー用の椅子に座り変えてもらいます。体を洗い、シャワー用椅子に座ったまま体を拭いて、着替えをお手伝いをします。そしてまた車いすに戻って、キッチンへ移動。ここまでがひとくくりです。サイトウさんは腕の力があり、ゆっくりとなら身体を動かせるので合計3回の、車いすとシャワーチェアー間の移動に協力してもらいます。

認知症による強い妄想

 シャワーを浴びるため、介護ベッドのリクライニングを起こします。すぐに移動をするのではなく、まずはサイトウさんの大好きなコーヒーを作って、持って行きます。週2日の訪問では、しっかり私を認識してもらえないので、だいたい毎回ここで自己紹介をします。サイトウさんには身体も意識もできるだけしっかり起きてもらって、同時に、私への警戒感を介護前に少しでも解いておくと、後々スムーズに事が運びます。

 サイトウさんは、コーヒーの中に何か入っているのではないか?と疑って、口をつけてくれない日もあります。そんな時は、お水です。本気で何かを入れようとするはらば、水であっても混入は可能と分かりますが、サイトウさんは水だと飲んでくれます。

 認知症による強い妄想の他に、サイトウさんには「病名しりたい願望」があります。例えばサイトウさんが、今朝は水をもっと飲みたい気分になったとします。すると「喉が渇くのは何の病気だろう」と聞いてくるのです。会話中に笑顔を見せると「何かニヤニヤしている」と疑うので、私はずっとシリアスな顔をします。「それは、睡眠中に汗をかいたりして水分が抜けたので、身体が要求しているからでしょう」。どんなに当たり前の内容でも、シリアスに言うことでサイトウさんの信頼を得られれば、その後の介護がスムーズなのです。

「目がよく見えない、何の病気だろう」
「サイトウさんは起きたばかりだから、かもしれませんね。目薬を点しますか?」
「・・それ、何か変なもの入れたか?」
結局、疑いの気持ちが勝って目薬はナシです。

 サイトウさんの前では、動きに大変気を使います。姿が見えないと「コソコソしている」となりますし、見えたら見えたで「疑惑の行動だらけ」と捉えてしまいます。

 例えば、着替えを脱衣所に持って行こうとしますと「さっきは何も持ってなかったのに、今手にもっているのは何だ」となるのです。「着替え用の服ですよ。脱衣所に用意します」と返事をしても「盗む気かっ」と言われ(怒鳴られ)ます。「いえいえ、ではサイトウさんの膝に置いて、一緒に運びましょう」。シャワールームまでの移動中のサイトウさんは、車いすを押す私に警戒を怠りません。シャワールームでも、背中を洗おうとすると「背後に回る」と捉えるので「背中を洗います」と声を掛けながら行います。

 とにかく強い妄想との根競べです。塗り薬は足の爪と、背中のかゆみ止め、そして保湿の3種類。パウダーは2種類です。これらも、混入した、しないでかなりの時間と労力を要します。パウダーは重要ではありませんが、足爪の塗り薬はケアプランに入っています。含有成分を読みあげたり、少量を私の手の甲に塗るゼスチャーをしたり、可能な限り安全性をアピールします。

 それでもダメな場合
「サイトウさん、これは・・本当に・・塗っておいた方が良いと思いますよ」とシリアス顔でアドバイスして、塗らなかった後に起こることを妄想してもらいますが、成功率は3割弱。

 サイトウさんの強い妄想は元からの性格もあるでしょうが認知症の症状として表れています。ですので、妄想に対して否定しないように心がけました。

[参考記事]
「認知症により妄想が発生した場合の対応方法」

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