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前頭側頭型認知症により怒りが止まらない女性への対応

 

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前頭側頭型認知症のBさんの事例

 家からデイサービスに通う83歳の女性は「前頭側頭型認知症」です。昔からお花が好きで、穏やかな性格だったそうです。お見合い結婚をされ、1男1女に恵まれました。育児をしながらご主人を支えてこられました。息子さんも娘さんも結婚し、孫も大きくなった頃、ご主人が他界され、現在は娘さん夫婦と共に生活しています。

 しかし、Bさんの発する言葉や行動が以前の穏やかさと明らかに変わったので、病院へ連れて行ったところ「前頭側頭型認知症」と診断されました。現在、娘夫婦は共働きですので、Bさんの様子に常に寄り添っていられません。介護保険を利用し、ケアマネージャーと相談の上で、週に3回デイサービスを活用されるようになりました。

デイサービスでは不機嫌

 朝、デイサービスの送迎車がお迎えにご自宅へ伺った時は、とてもお元気で「早く行こうよ」と気分も前向きなBさん。送迎車の中でも、ご家族のお話しをされたり、好きなお花の話をされたりと、常に笑顔でお話しされます。施設へ到着して、ゆっくりされると他利用者様と談笑されたり、日替わりのレクレーションでは、特にトランプの「神経衰弱」で同じカードを引き当てられ満面の笑みで喜ばれます。

 しかし、いつも決まってお昼が終わってしばらくすると、今までのBさんと打って変わり「まだ帰れないの?」「帰りたいんだよ!」と次第に怒りだします。机や椅子、壁等をバンバンと叩き始めます。職員が近寄って「やめてください」と言っても止まりません。「今、車がないのでおやつが終わるまでゆっくりしませんか?」と言っても「おやつなんかいらないよ!歩いて帰るんだよ!」と終始不機嫌になってしまいます。

 職員がなだめようと、Bさんの腕を触ると職員の腕を噛んだり、つねったりします。職員もそのような時には、毅然とした態度で目を座らせながら「痛いです!やめてください!」と強い口調で訴え静止します。

※物まね芸人の栗田貫一さんも前頭側頭型認知症で、奥様に急に怒ってしまうことをテレビで話していました。

暴力や暴言への対応

 Bさんの「帰りたい」と怒りだす様子に対して職員間で話し合いました。そして実行したことは、「帰りたい理由」をじっくり聞くことや「今は帰れない理由」をBさんにお話しして、コミュニケーションを計ることを試みました。今までは「今は帰れません」や「そんなことをすると痛いですよ!」と一方的な関わり方しかしていませんでした。

 また、帰宅に執着している気分を紛らわす為にできることとして、Bさんの喜ぶトランプのレクリエーションを多く提供すること、そして車でのドライブ、近所への散歩等、天候に対応して外出できるように試みました。

 すると、少しずつではありますがBさんの発言や行動が変化し、職員や他利用者様に「今日は娘が居ないけど、今度ご飯食べに来てね」「もっと他のトランプないの?」と言ったりして、暴力を行うことが減ってくるようになりました。

 まだまだ改善は必要ですが、施設の中ではご利用者様も多数いらっしゃるので、個人に特化することを毎日行うのは難しい現状があります。しかし、施設の中でいち早くご利用者様の様子に気づき、寄り添うことができるのは、職員しかいないため、できるだけ時間を割いて対応をしています。

[参考記事]
「前頭側頭型認知症ってどんな症状があるの?」

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