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[実例]老人ホーム内での徘徊に対する介護職員の対応が素晴らしい

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特別養護老人ホームに入居されているNさん(70代・女性)は、今から約5年前にアルツハイマー型認知症と診断されました。
若い頃は小学校の教諭をされ、三人の子どもを育て上げたNさん。
娘様の話では、朝から晩まで仕事も家事もてきぱきとこなし、とても働き者で厳しいお母さんだったと聞いています。
若い頃のお写真を見ても、どの写真も背筋をピンと伸ばし表情も凛々しく写っておられました。

特別養護老人ホームに入居してから

入所当時は食事や排泄などのADL(日常生活動作)は自立されていましたが、最近ではますます認知症が進行し、ADLも低下して介助を要するようになってきました。
しかし、排泄・食事など出来なくなってしまう事は増えていきましたが、Nさんの若い頃からの「習慣」は今でも変わらず残っています。

まず、Nさんの1日は朝5時30分から始まります。
他の方は朝食時間の8時までに起きて来られますが、Nさんはいつも入居者様のどなたよりも早く起き、すぐに施設内を歩いて回られます。

背筋をピンと伸ばされ、1つ1つドアをチェックされたり、布団のしわを伸ばされたりと、早歩きで休みなく動かれます。

時には、職員や入居者様に
「もう(朝ごはんを)食べたね?早く支度しなさい。私はその間にお弁当を、、。」などと「お母さんの表情」で子どもに話しかけるように声をかけながら、他の利用者様の居室に入り、私物を持っていこうとされます。
そのため、他の入居者様とのトラブルも少なくありません。
スタッフもその際はすぐに仲介に入りますが、当のNさんはそんな事は気にも留めずにすぐに次のお仕事に移られます。
また、歌やクイズなどのレクリエーションの時間になると、表情が少し厳しくなり「先生の顔」になります。
手を後ろに組まれ、他の入居者様1人1人の様子を見て回られます。

1日中歩き回ることへの対応

ここで問題となったのが、Nさんが1日中ほとんど休みなく歩かれている、という事でした。
その行動自体は問題ではありませんが、1日中歩く事で下肢がむくみ、疲労が溜まります。
そして疲労からどんどん前傾姿勢になってしまい、転倒のリスクも高まります。
身体がきつくても、なかなか休もうとされないNさん。
何か作業をされている時はこちらから
「ご飯ですよ」「そろそろ座りましょう」とお誘いしても、
「ご飯なんか食べている場合じゃない」「こんなに忙しいのに」と聞き入れられません。

そこで私たちはNさんに対する「声かけ」と、そのタイミングを工夫してみることにしました。
朝、丁度いつものように歩き回ってお仕事をされている時でした。
スタッフを見て、「あなた、支度は?」と尋ねられます。
「お母さん」のNさんの時は「娘」の立場で声をかけてみます。
「お母さん、今日は日曜日よ。たまにはゆっくり座ってコーヒーでも飲みましょう。」と女性スタッフ(お子様は娘様だけであったため)がNさんの大好きなコーヒーを片手に声をかけると、「あら、今日は日曜日なの?そう。それ美味しそうね。」と一緒にソファに座ってくださいました。
また、レクリエーション時の「先生」のNさんの時は「生徒」の立場で、「先生、ここがよく分からないので教えてください」とプリント片手に話しかけます。
するとNさん、「どれ?ああここはね、、」と一緒に座って熱心にスタッフに教えてくださいます。
声かけのタイミングが合う事で、休憩する時間を確保できるようになり、集団のレクリエーションにも少しずつ参加して頂けるようになってきました。

今まではただの「徘徊」と捉え、食事の時間・排泄の時間・トラブルになりそうな時などその場限りであったり、スタッフの都合で声をかけていました。
ですが、Nさんが「今生きている世界」を尊重し、その時々で声掛けを工夫していく事で段々と耳を傾けてくれるようになりました。
また、過度に歩くことが少なくなり身体の負担も減ることで、以前のようにきつい表情も和らぎ落ち着かれました。

[参考記事]
「[介護福祉士に聞いた①]認知症の人の徘徊にどう対応しているの?」

「[認知症介護体験 今野さん編①]徘徊で横浜から伊東へ」

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