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認知症による徘徊で行方不明に。徘徊に対する対応とは

 

 70代の女性利用者Bさんは1年前までご自宅で生活されてきました。認知症による徘徊がありましたが殆どが自宅周りのみで特に事故やトラブルもありませんでした。しかし認知症が進行するとともに徘徊が酷くなってきました。

 ご家族によるとタクシーで遠方まで行き高額請求をされることもあったそうです。受け答えはしっかり出来ており、タクシーの方も認知症には思えなかったとの事でした。その後も同様の行動が目立ち、目を離せなくなったため自宅での生活は困難となり老人施設に入居となりました。

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入居後の徘徊

 入居されてからも徘徊はありました。といっても施設では主だった出入口に電子ロックが掛けられており、外に勝手に出るという事態にはならず、ただ施設内を散歩している状態でした。無理やり出ようとすることもなく、扉が開かない、開いていないことが分かると納得され自室に戻られたり、テレビを見られたりしており、特別問題行動が出たりはなかったです。

 そのためBさんに対しては徘徊が酷いために入居しましたが、それ以外では特にトラブルも起きていないので、軽度の認知症だと思われていました。

徘徊で行方不明に

 そんな生活が続き、職員はBさんが徘徊が原因で入居されてきたという事実を忘れ、普通に対応していた頃、事件は起こりました。

 その日は年始で施設の近くの神社で屋台が出たりして大変賑わっていました。私たちもBさんを含めた数名の利用者さんと職員とで初詣に出かけました。お賽銭をしてお参りを済ませた後、屋台を見て回っていると一人の利用者さんが「あれ食べたい」とリンゴ飴を指さしました。この方は嚥下が困難であり、ペースト食だったため食べれないことを説明し他の物を進めますが、「嫌だ」と言い、頑なにリンゴ飴を食べると言ってこちらの声掛けを聞かなくなりました。

 職員でどうするか相談しているとBさんがいないことに気付いたのです。周りを見渡しますが人が多く見つけることが出来ません。1人の職員に利用者さんを任せ、残りの職員で周囲を探しますがどこにもいません。20分ほど探しますが見つからないため施設に連絡し、応援を呼びました。休日の職員も呼び出され周辺を探します。

 夜になり少し離れた駅のホームで寝ているのを発見されました。駅は田舎の無人駅で駅員さんがいません。たまたま降車した学生さんがBさんを見つけ、不審に思い警察に電話し発見することが出来ました。まだ1月という事もあり厚手の服装ではありましたが、外は寒く夜間はかなり冷え込むため、最悪のケースも予想される事態でした。

 警察によると徘徊にいる行方不明は年間に1万件以上あります。当然、届け出のない場合にはカウントされていませんので、これよりも行方不明の数は数倍あることが予想されます。中には行方不明のまま見つからないケースや亡くなってしまうこともあります。

徘徊に対する対応

 Bさんのご主人は既に亡くなられているのですが仕事をされていた時は駅まで迎えに行くのが日課であったとご家族から聞くことが出来ました。それを覚えており、今でもご主人を迎えに行くために駅を探し、徘徊しているのではないかと考えました。

 そこで散歩コースに駅で休憩する時間を取り入れることにしました。結果として成功で徘徊は殆どなくなり散歩に行くのを楽しみにされています。

 認知症といえども何も考えていないわけではありません。昔の出来事などの情報を収集して、それを介護に生かす重要性を再認識しました。

認知症は常に変化している

 認知症は進行を抑えることは可能ですが、完治はできません。そのため、症状が常に変化していることを忘れてはいけません。Bさんが入居されてから外に出て徘徊するケースが無かったのはBさんの症状に関係なく、施設の環境が整っていただけに過ぎません。

 家で介護している場合にはずっと見ているわけにはいかないので、対応は難しいですが、認知症の症状は常に変化していることを考え対応していかなければなりません。頻繁に徘徊が起こる場合には老人介護施設に入れることも考慮してもいいかもしれません。

[参考記事]
「認知症の方への水分調整とレクリエーションで徘徊頻度が減少」

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