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認知症により障害を受ける3つの記憶力

 

 世間の人が認知症と聞いて、真っ先に挙げられるのが記憶障害ではないでしょうか。「記憶」にはたくさんの種類と特徴があります。認知症は型によって障害を受ける記憶の種類が違いますので、先ずは基本的な記憶の種類(3種類)から説明します。

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記憶の種類

 記憶は心理学では感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3つに分けることができます。

①感覚記憶
 感覚記憶は例えば電車に乗って外の景色を見ている時にインプットする一瞬の記憶(数秒)です。何かを覚えようとしている訳ではないの、何も特徴が無い景色、音、匂いであれば数秒で忘れます。

②短期記憶
 数秒、数分程度で忘れてしまう記憶です。以下のワーキングメモリが短期記憶です。

▲ワーキングメモリ
 ワーキングメモリは作業中や行動中の短い時間の中で記憶を保持し、その情報を処理する機能を持ちます。
例えば
〇会話をしている相手の話を覚えて、それに対する答えを発する。

〇料理をする前に本に書いてあったレシピを覚えて、それを実行に移す。

③長期記憶
 短期記憶が長期記憶へと移行します。以下の手続き記憶、エピソード記憶、意味記憶が長期記憶です。

▲手続き記憶
 手続き記憶は自転車の乗り方や電話のかけ方など技能や手順を必要とする記憶です。繰り返すことで記憶が固定していきます。

▲エピソード記憶
 去年に香港に旅行に行ったなどの体験の記憶がエピソード記憶です。

▲意味記憶
 この記憶は知識として身に付いている記憶です。例えば織田信長が起こした戦争の年号や単語の意味など。

 では次にアルツハイマー型認知症と前頭側頭型認知症では短期記憶と長期記憶、どちらの記憶が失われていくのかを説明します。

認知症の型によって記憶障害の種類が異なる

 アルツハイマー型認知症は側頭葉にある海馬が委縮することで記憶障害が現れます。最近の出来事(新しい情報)を記銘することが出来なくなるのがアルツハイマー型の特徴です(「記銘」とは外部の情報を取り込み覚える)。それに対して長期記憶である手続き記憶は比較的衰えていません。つまり、短期の記憶から失われていき、長期記憶は比較的保持しているケースが多いです。

 前頭側頭型認知症は名前の通り、脳の前頭葉と側頭葉が委縮することで起きる認知症ですが、記憶力は初期の頃は維持していることが多いです。しかし、前頭側頭型認知症が進行した頃から先ほど説明した「意味記憶」の障害などが現れることがあります。例えば「傘」の意味が分からなくなるなどの障害が現れます。

[参考記事]
「認知症で5秒記憶できない女性が2分記憶できるようになった訓練」

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