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認知症による帰宅願望の原因が便秘だった事例

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「そろそろ家に帰ります」「やることがあるから」と言って何度もデイサービスの席を立たれ家に帰ろうとされる80代の男性Aさん。
Aさんはアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症とは見当識障害や記憶障害を主症状とした認知症疾患の1つ。
異常なタンパク質が脳内に蓄積されてしまうことが原因で、程度の差はありますが、高齢になるとほぼすべての人がアルツハイマー型認知症になる可能性があると言われています。
この「家に帰ります」という帰宅願望。
帰宅願望とは何なのか、どう対処したら良いのかについて私たちが行っている対応についてお伝えします。

帰宅願望とは

帰宅願望とは、その名の通り「家に帰りたい」と訴えることです。
施設に入所されている方や、デイサービスを利用されている方が家に帰りたいと訴え、職員が説明しても家に帰ろうとする場面は、介護現場では良くある光景です。

しかし、自宅にいる方が突然「家に帰ります」と訴えることも良くあること。
今回紹介するAさんも、長年住まわれている家にいても、突然「家に帰ります」と言い、自分の家から外に出て行ってしまうことがあるそうです。
こうして考えてみると、Aさんを含め認知症の方が「家に帰りたい」と言っても、本当に家に帰りたいのかと言えばそうではないこともあるのかもしれません。

家に帰りたいわけではない

では、Aさんはなぜ「家に帰りたい」と訴えていたのでしょうか。
アルツハイマー型認知症は、前頭葉や側頭葉と呼ばれる脳の一部分が萎縮して物忘れや問題行動などの症状が起こると言われています。
特に前頭葉と呼ばれる部分は、自分が置かれている状況を判断したり、計画を立てて実行する上で大切な役割を担っています。
ですので、この部位が委縮しているということは「今自分が何をしていて何をしなければならないのか」という今の自分の状況が分からず、不安な気持ちから「家に帰りたい」という訴えに繋がることがあります。

また、認知症の方に多くみられる物忘れは「最近の記憶である短期記憶は障害されますが、昔のことは良く覚えている」という特徴があります。
そのため、昔夕飯を作っていた頃の自分や子供を育てていた時のことを良く覚えていて、「夕飯を作らなくては」「泣いている子供にミルクをあげなきゃ」といった理由から家に帰りたいと言っていることもあるようです。

本当の訴えは何か

Aさんの行動を良く観察してみると「家に帰りたい」と訴える日にトイレに籠っていることが多いことが分かりました。
つまり、便秘によるモヤモヤした感じがなぜ起こっているのかAさんには理解できず(自分が置かれている状況を判断できない)、不安な気持ちから「家に帰りたい」と言っていたのではないかと考えました。
問題行動と呼ばれる症状の原因が排泄ケアによって改善したという事例は数多くあります。
デイサービスでは、水分を多く摂ってもらったり、運動の機会を多くするといったアプローチを実践し、できるだけ便秘にならないように支援しています。
Aさんの帰宅願望が完全に無くなったわけではありませんが、少しずつ落ち着いてお過ごしされているように感じています。

対処療法も効果的

それでも「家に帰りたい」と訴えた場合はどうしたらよいのでしょうか。
そういう時は、物忘れという症状を利用させて頂いています。
家に帰りたいと言ったら「じゃあ、タクシーを呼んで来ますから少し待っていて頂けますか?」とお願いします。
すると、「家に帰りたい」という訴え自体を忘れてしまうので落ち着いて一日過ごせるというケースもあります。
認知症の方にはこのその場の対処療法は非常に効果的ですが、一日に何度も訴えるという場合は職員である私たちの忍耐が必要になります。
何十回も言われて「さっきも言いましたよね!」なんて怒ってしまっては更なる周辺症状が引き起こされてしまうかもしれません。
何度訴えても、初めて聞いたかのように演技して下さいね。

[参考記事]
「ショートステイの際に帰宅願望がある認知症高齢者に対する対応」

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