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[認知症介護]快適な居住環境作りをして、症状が改善した例

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特別養護老人ホームに入居されている89歳のFさん(女性)は、若い頃から実家が農家をしており、嫁いだ先も農家であった為、何十年も子育てをしながら畑仕事を頑張ってこられました。

老後も息子夫婦や孫達に囲まれて一緒に暮らしていましたが、80歳を過ぎて徐々に物忘れが出始めます。
心配した家族がFさんと脳神経外科を受診した所、老年性の認知症だと診断されました。

それから、だんだんとお風呂や排泄で家族の介護が必要になってきたこともあり、しばらくして家族の意向から入所が決まりました。

Fさんはもともと社交的な性格なこともあり、すぐに老人ホームに入居されている皆さんとも仲良くなりました。
ですが数日経ち、Fさんがだんだん元気がなくなっていきました。
夜はなかなか寝付けないのかベッドのシーツを触ったり、お部屋やフロアをしばらく徘徊されるようになりました。
そのため、昼間もぼんやりとして眠たそうにされ、レクリエーションなどの活動にも参加されなくなりました。

排泄なども、廃用症候群にならないように出来るだけ自立を促した声かけをしますが、日に日に失禁も増えスタッフへの介護依存も出てくるようになりました。

そこで私たちは、1日のFさんのサイクルを見直し、原因を探るためのカンファレンスを開きました。
ご家族の話によると、普段は早寝早起きでとても活動的な人だったそうです。
また、カラオケが好きでよく地域の公民館でお友達と歌を歌っていたとの事でした。
しかし、老人ホームに来られから、何度かカラオケにお誘いしましたが、ボーッと眺められているだけでした。
ご家族も、自宅で暮らしていた頃のFさんと現在の様子との違いに驚かれていました。

その時ははっきりとした原因が分からず、とにかくFさんの1日の状況をよく観察し、記録していこうということになりました。

ある日の夜、いつものように廊下を徘徊されているFさん。
足取りがふらふらとおぼつかず、転倒の危険性がありました。
そこでフロアの一角にある畳のスペースにお茶とお茶菓子を置き、一休みして頂きました。

するとFさん、畳が落ち着くのかそのままお茶を啜りながらテレビを観てくつろぎ始めます。
その姿をみて私はあることを閃きました。

もともとFさんは農家で昔ながらの日本家屋に住んでいました。
それならば、畳がある空間が落ち着くのも当然でしょう。

ご家族の話では、もともと早寝早起きの習慣があったFさんが夜中に徘徊し、昼夜逆転するのは環境の違いが関係しているのではないか、と考えました。

そこで、試しにそのまま畳にベッドから布団を持ってきて敷いてみました。
「Fさん、そろそろ遅いし、どうぞ休んでください。」と隣に敷いた布団を指すと、「もうそんな時間ね、そしたら寝ようかね」とすんなり布団に入りました。

そしてその日はそのまま熟睡され、次の日朝ごはんのお誘いのため声をかけると、とてもスッキリした表情で起きて来られました。
「もうご飯ね、お腹すいたー」と笑顔のFさん。
今までとはうって変わってハキハキと喋ります。

そして初めてご飯を全部召し上がりました。

その日から、私たちはご家族に協力を要請し、出来るだけ住み慣れた家に近い環境づくりをしていきました。
夜はベッドではなく畳を敷いて布団を敷くことで、夜もぐっすり眠れるようになりました。
ちょっとした環境の変化がお年寄りには大きく響くことをFさんから勉強させていただきました。

また、何より嬉しかったのが、徐々に日中の活動量が増え、最近ではカラオケ教室で素敵な歌声を聴けたことです。
このように1つのマイナス面が改善されると他の面にも良い影響を及ぼすこともあります。

[参考記事]
「[実例]老人ホーム内での徘徊に対する介護職員の対応が素晴らしい」

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