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認知症による暴力が防げず、精神科へ入院(実例)

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介護老人保健施設の認知症専門棟に入居されていた女性Aさん(70代)についてのお話をします。
身体機能的には歩行は独歩、食事は自力摂取、排泄はリハビリパンツの状態です。

入所してから2~3ケ月は環境の変化もあり落ち着きがありませんでしたが、キーパーソンの娘様が定期的に子供を連れて面会に来られ、Aさんは幼い孫をみてにこやかにされる様子も見られました。
次第に施設の療養生活にも落ち着きが見られてきたように思われました。

しかし、2か月が経った頃から毎日徘徊することが多くなりました。
歩く速さは年齢的にも若いため速く、歩く距離もかなりの距離を歩いていました。
認知症棟で40床と規模が小さいため、ある程度は目の届く大きさではありましたが、職員はAさんの歩く速度が速いため、見失わないように声掛けを行い、所在を確認していくようにしていました。

さらに冬になるにつれ、徘徊に暴言が加わってくるようになりました。
他利用者様の居室に入ったり、他利用者に対して暴言を言うようになりました。

Aさんの周辺症状に対する対応

初めのうちは職員との会話や声掛け、そして娘様、息子様、旦那様などご家族にも面会の頻度を増やしてもらい、Aさんが少しでも落ち着くようにと対応を行って参りました。
また、施設医師に相談をし、軽めの安定剤の指示を受け、服用していただきました。
初めは確かに落ち着くことはありますが、脳内の興奮状態には薬の効果は勝てず、大きな変化を見ることはできませんでした。

症状は酷くなる一方で、鏡に向かった自分を理解できず、鏡に映った自分に対して暴言を吐く、徘徊していて何かに向かって暴言を吐く、状態確認を行う為に行った職員に対して暴言を吐くという状態になりました。
施設でできることは他にはないかを職員間でまず検討をしました。
ケアマネージャーは各部署の意見を聞き、プランを立て、支援相談員は、家族の面会時にご本人と面談していただく前に今の状態の報告、実際の動きはどうなのかを見ていただくことにしました。
その後、家族と面会をされると、面会時だけは落ち着いて家族と過ごす様子が見受けられておりました。

年が明け、状態も変わらずにおりましたが、ついに職員に手を出すようなそぶりを見せる行動が見られました。
職員の声掛けに対して怒りだし、拳を握り叩こうとする様子が見られるようになりました。

精神科での受診

施設としては、施設内で使用できる内服では限界があるし、他利用者への危害が出ることは防がなければならないと判断し、キーパーソン(娘)へ精神科の専門医への受診を勧めることにしました。
精神科の入院加療は可能なのかを家族で相談していただき、回答を得ることとしました。
キーパーソン、夫、息子とそれぞれ自宅が離れているため、病院をどの辺りにするかを相談し、施設の支援相談員が病院の精神保健福祉士と相談し受診の調整を行いました。
病院では入院は外来で診察しないと判断できないと言われ、こちらとしてももちろん理解しているうえで診察をお願いしたいと伝え、数か所の精神科病院と診察の予定を組むことを行いました。

初めはキーパーソンの自宅近くの病院を受診をしてはみたものの、担当医が介護老人保健施設の形態(処方できる薬に限界があること、専門的な治療は介護老人保健施設ではできないこと、病状が慢性期であり落ち着いた状況でのリハビリを行い、在宅復帰を目指す療養生活を行う施設であること)を理解頂けてなく、さらに、「どうしてこのような状態の患者を連れてくるんだ!入院なんて受け入れるわけがない。施設で看るべきだ!」とご家族が不快な思いをする言葉を言われ、付添の看護師共に沈痛な思いで施設へ戻りました。
最終的に、施設近くの病院へ受診し、入院加療を行い、様子を見ていく方針を担当医が了承し、家族も担当医の対応に賛同し、入院となりました。

まとめ

今回のケースに関しましては他利用者が怪我をすることを考え、専門医の治療へつなぐこととなりました。
家族様へは、病状が落ち着きましたら、またご相談くださいとお伝えし、落ち着いた状態へ向かうことを願い、退所されました。
退所してからは基本、施設との契約は切れることになりますが、定期的に連絡を取ると、状態もなかなか安定していないとのことで主治医としっかりと相談していただき、快方へ向かっているならば、ご連絡を下さいと話しました。
精神科の治療は長くかかることから、期間もある程度長く空けて連絡を取るようにしました。
半年くらい入院が必要との話を家族様が言っていたので、その時期になったら様子を伺いたいと相談し、了解を頂きました。

[参考記事]
「前頭側頭型認知症による暴力行為のある入居者への対応」

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