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脳血管性認知症による暴力に対する対応には限界がある

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介護施設で問題老人といわれ続けたYさんの実例

認知症にはいくつかの種類分けがありますが、その中でも脳血管性認知症による暴力行為、セクハラ行為などで複数の介護施設で問題老人とされ、たらい回しになっていたYさん(男性)の実例です。
Yさんは私が出会った当時は67歳で、勤務していたデイサービスではとても若く、第一印象も目立つ存在でした。
外見はきちんとした清潔な身なりで、とても好印象な笑顔が特徴的な人物でしたが、どんな状態でも介護を拒否されることが多く、何か気に入らないことがあると杖を振り回していました。
他にも大声で職員やほかの利用者様にも罵声を浴びせたり、お茶をかけたり、女性職員や特定の女性利用者の胸を触る、おしりを触るなどという行為を繰り返し、施設内でも孤立した存在になっていました。
Yさんの既往歴には3回の脳梗塞という過去があり、右上下肢麻痺と感情障害により理性がきかない状態になってしまうことが多く、また運動障害性構音障害や失語症により、言葉の理解はできるものの麻痺のため上手く話せないという障害がありました。

Yさんのバックグラウンドを知る

度重なる暴力行為により、利用者様同士の中でも同じテーブルにつくことすら拒否されてしまうようになってしまったYさんですが、一度目の脳梗塞で倒れる以前は地域でも明るくて社交的な人物で有名な方だったそうです。
奥様とお二人で商店を営み、Yさんは敏腕な営業マンとして活躍されていたようです。
またセクハラ行為をされる女性利用者様たちは、その頃のYさんのことを知っていて、まだ若くしてデイサービスに通っているYさんに同情の目があり、多少寛大に接してくださっていたように思います。
施設内でこのような状態になっていたYさんは自宅ではさらに暴力行為がエスカレートしており、まだ自宅で現役で働かれている奥様に対してはさらに強烈な暴力もあったようです。
奥様は受け入れてくれるデイサービスがあることだけで感謝しているとお話されていました。
私たち職員も少しでも奥様のために施設内でお預かりできることで、平穏な時間を作ってあげることができればという思いになりました。

介護拒否される職員と受け入れられる職員

介助を拒否し、暴力行為をするYさんですが、よくよく観察していると、一部の職員とは上手くお話できなくてもたまに会話をしてくださったり、歩行や排泄時に介助をさせてくれることが分かりました。
比較的若い新しい職員たちは、Yさんに対して警戒心や偏見を持たずに積極的に声かけをしていることが多く、多少の暴力行為やセクハラ行為が見られても、そういうこともあると素直に受け入れられるような職員が多かったのです。
反対に、話しかけたり、何かお手伝いをしようとしても杖を振り回されてしまったり、ものを投げられてしまう職員はベテランが多く、Yさんのような人物を何人も見てきているような人たちでした。
つまりはベテランの職員たちはYさんに対して、他の施設からの情報やこういう認知症の人はこういう症状があるという経験に基づく知識が裏目にでてしまい、その心情がYさんのように長年営業マンとして対人の仕事をして人の心境を読むことにたけているような方には不快に感じられることが多かったのかもしれません。

具体的な対応策

Yさんに対する介助時の具体的な対応としてまずは複数の職員が代わる代わる介助をするよりもなじみの職員を作ってもらえるようにすることが有効と考えました。
Yさんのように梗塞を起こしていない部分は正常な方は目で見てその人を覚えたり判断することができるので、自尊心や尊厳を大切にしてもらえているという感覚がYさんに伝わるようにマンツーマンのケアを心がけました。
さらには利用者様たちと上手く会話にならない時も筆談やジェスチャーを交えたコミュニケーションをこちらから図ることで、関係の改善を図りました。
これらの対策を行ってから数か月は上手く行っていたのですが、
その後、職員に軽い怪我を負わせるような暴力行為があり、通所を拒否されるようになりました。
その後は自宅内での暴力行為が悪化したこともあり、精神科に強制入院。
そして服薬治療のあと特別養護老人ホームに入所されました。

介護職員にできることには限界がありますが、一緒に過ごさせていただく時間があるのも何かのご縁と思い、少しでもその人らしく過ごせる時間のお手伝いをしていけたらと思った経験でした。

[参考記事]
「前頭側頭型認知症による暴力行為のある入居者への対応」

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