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認知症患者の幻視や幻聴への対応で大切なこと(実例) 

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都内のグループホーム(認知症対応型共同生活介護)に入所されているEさん(72歳女性)はレビー小体型認知症です(参考記事「レビー小体型認知症ってどんな症状があるの?」)。
Eさんは関西出身らしくハキハキしていて社交的な性格で、最初は他の利用者様と良好な関係を築かれておりました。
しかし、認知症の症状の進行は日々確認されており、その都度グループホームの職員は対応を話し合っています。
ある日Eさんは床を指さし『こんなに部屋にアリがおるのか』と言って床を触ったり新聞で払ったりし、職員に助けを求めます。
床にはゴミ1つ落ちてはおらず、Eさんはこの頃から幻視が見え始めました。
レビー小体型認知症は他の認知症型と比べて幻視や幻視が出やすいと言われています。

幻視に対する職員Aと職員Bの対応

職員AはEさんに向け『床にアリはいませんよ。安心してください。外が晴れていますね~お散歩にでも行きませんか?』と言いました。
するとEさんは『ここにアリがいるんだよ!見えないのか!行かないよ!』と怒った表情で訴えるのです。
Eさんは部屋と居間を行ったり来たり、イライラして他の利用者様に大きな声を出したりと落ち着かない様子が続きました。

職員BはEさんに向け『あら本当だ!こんなところにアリがいたんですね。今から掃除をしますね。』とほうきで掃除をする動作をつけEさんに見せたのです。
その様子を見たEさんは『ありがとな。』と職員にお礼を言い、しばらくすると訴えもなくなり、職員Bは『Eさん夕飯の買い物に行きませんか?』と尋ね散歩がてら買い物へ連れ出しました。

この職員A・Bの対応の違いで分かるように、幻視に対して否定的なことを言うと認知症の人に不快な気持ちを与えかねません(職員Aはまだ介護職について2カ月ほどの新人)。
認知症の方は特に、見えないものが見えるとご本人が言った場合、それは見えるものなのです。

幻視幻聴に関しては、ご本人の主張に耳を傾け、否定をしないことが最良といえます。
しかし、幻視の症状はこれで治まったわけではなく、
夜間『部屋に女と子供が10人いたんだ』などの訴えがありました。
後日ご家族に連絡を入れ、通院している「ものわすれ外来」で症状を話していただきました。
その診察では薬の処方が行われました。

幻視に対する我々の取り組み

私たちは意見を出し合って以下のようにEさんに対応することにしました。
Eさんの生活パターンをひも解き、幻視がよく現れる時間帯に職員の活動を増やしたのです。
具体的な活動はEさんのご趣味であった絵手紙・手芸・カラオケなどを取り入れ余暇の充実を目指し対応いたしました。
また、先ほどお伝えしたようにEさんの幻視・幻聴の訴え時に、否定をしないという聞く姿勢も徹底いたしました。
幻視に限らず、物盗られ妄想であっても否定しない姿勢は同じと言え『泥棒がいるの』と訴えに対して、もちろん泥棒がいることを肯定はできませんが、否定をしては関係が崩れかねません。
この場合は肯定否定もせずに傾聴を続け、泥棒の侵入を許さない管理体制があることなどを丁寧に伝え『これからは泥棒が入ることはない』ことを伝えるのも良いと思います。

認知症の方々への対応で学んだことは多くありますが、日々のケアで1番大切に思うことは、心をこめて相手を思いやることだと思います。
どんな状態の方でも分かり合える一瞬はあり、そんな一瞬を大事にしていけたら良いなと思います。

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