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認知症により他人のロッカーを開けてしまう女性への対応例

 

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アルツハイマ―型認知症のAさんの事例

 Aさんは長年専業主婦として生活されてきた76歳の女性です。娘さんが一人いらっしゃいます。旦那さんは昔堅気の職人で常に忙しく、ほとんどの時間を娘さんと過ごしていたようです。娘さんが成人してすぐ、旦那様を脳梗塞で失い、以後は娘さんと2人で生活することとなりました。

 Aさんは徐々に料理を作ることができなくなり、物忘れが多くなったので、病院を受診したところ、「アルツハイマ―型認知症」と診断されました。高齢者支援センターの相談を経て、現在は週に2回認知症デイサービスへリハビリを兼ねて通っています。「ラジオ体操・柔軟体操・ボール運動」も、手順よく上手に行い、職員の声かけに応えることは可能な方です。

自分のロッカーが分からないAさん

 認知症デイサービスでは、ご利用者様それぞれの「ネームプレート」を張った「手荷物保管用ロッカー」へお荷物をしまっています。個別のカギはありませんので貴重品は職員が預かる形を取っていました。

 Aさんはご自分の「手荷物用のロッカー」の認識はあるものの、「ネームプレート」には認識がない様子でした。ロッカーにあるネームプレートをAさんに見てもらっても「え?なんで?ここ?!」と、他利用者様のロッカーを開けてしまい、納得しません。しかし、ロッカーを開けてご自分の荷物自体を目の当たりにすると納得します。

 他利用者様からすれば、ロッカーの開閉を見境なく行うAさんの行動を不快に感じ、トラブルにつながる可能性もありえると、この件について職員間で話し合うことになりました。

ロッカーを間違えることへの対応

 改善点として、手荷物を気にするのはAさんだけなので、ロッカーの廃止はしませんでした。Aさんに限ってはロッカーの使用を中止し、最小限のお荷物を持参して頂くように家族にお願いました。

 またご本人がいつでも手に取ってご納得されるように、愛用の巾着袋を手元に持ってもらうことにしました。この巾着袋は10年前にご自身で作ったもので、長い間、補修しながら使われてきたそうです。巾着袋には認識がある為、置き忘れもなく、いつも大切に持ち歩いていらっしゃいます。ご本人の「愛用品」に重点を置くことで、未然にロッカーでのトラブルを防ぐことができました。

[参考記事]
「認知症により理解・判断能力が衰えた着付けの先生の事例」

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