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認知症による入浴拒否の原因は介護職員の若さだった事例

 

 グループホームに入所して3年になるMさん(70代女性)のお話をします。Mさんは、普段穏やかな人でしたが時々暴力的になります。認知症による影響が暴力的にさせるのだと思います。

 ある日新しい介護員が施設にやってきました。20代の彼女は、Mさんからみたらお孫さんのような年齢です。どなたも彼女を可愛がり、いい関係が築けそうだと思っていました。すると、それからすぐにMさんの入浴拒否が始まるようになりました。

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入浴拒否に対する対応1

 私達は、Mさんの入浴拒否が始まった原因を皆で考えました。しかし、その原因が中々見つからず困っていました。

 その場しのぎの言い訳を作ってMさんに入浴してもらったこともありました。

「あ~。Mさん、髪の毛に鳥の糞がついてます。これどうしますか?お風呂で落としませんか?」

 Mさんはお洒落な方だったので「明日息子さんが来られますよ。Mさんの髪の毛キレイにセットしようと思います。髪の毛洗わせてもらえませんか?」

 Mさんには二人の息子さんがおりました。息子さんを大切に育ててこられた専業主婦です。そこで入浴時間になると男性職員に電話をかけてきてもらって、息子さんになりすましてもらいMさんに入浴するように電話で話してもらうこともしました。

 しかし、その場限りの対応では入浴拒否がなくなることはありませんでした。

入浴拒否に対する対応2

 何故、Mさんは入浴するのが嫌になったのだろう?
基本に帰って皆で考えることにしました。

 入浴拒否するようになった記録をよく見てみると、特定の介護員(50代)には入浴介助の拒否をすることはありませんでした。何故か新人の20代の介護員の時に拒否をしていることが分かりました。

 ここにヒントがあるのではないかと思い、新人介護員の入浴の仕方を皆で考えてみることにしました。考えましたが、新人介護員にこれといった原因はありませんでした。

 そこで、暫くMさんの入浴介助は新人介護員には任せないことにして、新人介護員には、Mさんともっと関わることや仲良くなるようにと伝えました。

 1ケ月が経ち、2ケ月が経ち徐々にMさんと交流が進んだある日、Mさんの入浴介助を20代の新人介護員に任せてみようということになり、見守っていました。

 するとあれだけ拒否をしていたMさんが、なにもなかったかのようにお風呂に入ることができました。

入浴拒否が無くなった理由

 何故?Mさんは入浴拒否をするようになってしまったのか? 何故?Mさんはまた、自然と入浴をするようになったのか?

 Mさんは、ご自分の裸を若い人に見られたくない願望があったのかもしれません。お洒落な方でしたので、身なりにも気を使い、ズボンを履くことも拒否してスカートばかり履いていました。

 自分が園内で一番キレイでいたいと常に思っていて、キレイですね。素敵ですねの声かけに反応していました。

 ですので、Mさんは、若い新人介護員をみると敵対心でいっぱいになり、それが入浴拒否に繋がったのでしょう。若い子はそれだけでキレイで輝いています。それに対してMさんは、70代で年老いています。ですので、このギャップが嫌だったのでしょう。

 しかし、新人介護員が、Mさんとコミュニケーションをたくさん取って信頼関係を築くことで、Mさんは新人介護員を受け入れてくれたのかもしれません。

 介護の世界にはこれだと言う答えは存在しません。どんなに立派な介護員でも間違ってしまうことはあります。

 今回は新人介護員が素直にMさんと信頼関係を築こうと思ったことで入浴拒否がなくなった事例です。

 介護をする者は利用者さんと信頼関係を築くことが一番大切なのだと思っています。認知症だからと言ってその場限りの対応では上手くいかないということを勉強させていただきました。

[参考記事]
「[認知症介護]入浴拒否のおばあちゃんに入浴してもらう方法」

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