認知症に関するサイトを見て私が思うことは「認知症薬について良いことしか書かれていない」ということです。ですので、この記事では認知症薬の良くない情報を中心に書いていきます(良い情報は他のサイトを見てください)。
初めに医学雑誌に載ったアリセプト(ドネペジル)に関しての研究を紹介します。簡単に結論を述べると「偽の薬(ビタミンE)を飲んだ人」と「アリセプトを1日10 mg飲んだ人」を3年に渡って調査したところ、1年ほどはアルツハイマー型認知症の症状の進行を抑えられたが3年では差はなかった」ということです。アリセプトに関して多くの医師が言われるのは「短期の記憶改善などに関して1年ほどであれば効果がある」ということですので、この研究と同じ結果です。
さらにこの研究の結論はイギリスで2年間行なわれたアリセプトの臨床試験の結果とも符合します。それは「1、2年はわずかな効果はあるが、それ以降は効果がなくなる」というものです。さらに「ドネペジルには薬価に値する効果はない。コリンエステラーゼ阻害剤より有効な薬が必要」と結論付けています。
ではこの有効とされている1,2年が過ぎても飲み続けているとどのような副作用が現れるのでしょうか。1、2年飲み続けていると副作用の方が強く出て、攻撃性が強くなるなどの「興奮する場面」が増えるそうです(もちろん、個人差はありますが)。ある医師によるとアリセプトを飲んでいる人の約15%にこの興奮が現れると言っています。「興奮する」という副作用のことは添付文書に載っていますが、「その他の副作用」に小さく載っているだけです。その結果、この副作用を知らず、「認知症の症状が悪化している」と勘違いしている医師もいます。
結論として私はアリセプトの添付文書に書いてあるように「認知症の進行は抑えられない」と考えています。効果はありませんときちんと添付文書に書いてあるのです(笑)ですので、「そんなこと信じない」と言っている人は添付文書を読んでいないということになります。医師でも添付文書を読んでいない人は大勢います。
1.本剤がアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。
2.アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。
アリセプトの添付文書より引用
ここで上記の2について補足します。「新版 飲んではいけない薬」には以下のことが書いてありました。
アリセプトの血管性認知症に対する比較試験において、偽薬群326人とアリセプト群684人を較べました。その結果、偽薬群は死亡0人、アリセプト群は11人死亡している
この比較試験から言えることは認知症の診断を正確に行わないと「有効性は確認できない」どころの話ではなく、死の危険が伴うということです。アリセプトはアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症にだけ使われていますので、誤診により血管性認知症に使われたとすると取り返しのつかないことになります。NHKが専門医に調査したところ、約3500人がうつ病などの病気なのに認知症だと誤診されていたことが判明しています。そのような医師が下手に認知症薬を処方してしまったらと考えると恐いです。