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糖尿病になると認知症になりやすいという研究を紹介

 

 糖尿病と認知症の関係性は多くの研究から明らかになっています。多くの研究の中から、3つの研究を取り上げて順番に紹介していきます。

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①久山町研究

 一番有名なのが九州大学の清原裕教授の久山町研究です。これは福岡県にある久山町で行なわれた大規模な調査(15年間で約1000人が対象)ですが、糖尿病の人と糖尿病ではない人を較べると「糖尿病の人の方が認知症の発症率が2倍から3倍近く高い」という結果が出ています。具体的にはアルツハイマー型が2.2倍で、脳血管性認知症が2.8倍です。脳血管性認知症は脳梗塞などの脳の病気が原因ですが、糖尿病になると脳梗塞になりやすくなります。ですので、脳血管性認知症の方が発症率が高いのも納得が出来ます。

②米ペンシルベニア大学の研究

 米ペンシルベニア大学の研究によると2型糖尿病(2型糖尿病とは生活習慣から発症する糖尿病)が発症して長ければ長いほど脳の重さが減るという研究を発表しました。これはMRIを使って糖尿病患者約600人の脳を調査して分かったことです。脳が縮小するということは当然、記憶に関わる「海馬」にも影響が出ます。これが認知症を助長するわけです。

③オランダのロッテルダムの研究

 オランダのロッテルダムでも久山町と同じような調査が行われ、対象者は約6000人で2年ほどの追跡調査を行っています。その結果は糖尿病の人と糖尿病ではない人を較べると、糖尿病の人の方がアルツハイマー型で1.9倍、脳血管性認知症で2.0倍、発症率が高かったのです。

 以上3つの研究を紹介しましたが、どれも認知症と糖尿病の関係性が強く表れています。ですので、将来認知症になりたくないのであれば、まずは糖尿病の治療が必要です。糖尿病の治療食として日本糖尿病学会が推奨しているのがカロリー制限食ですが、もう一つ新しい糖尿病の治療食として「糖質制限食」があります。カロリー制限食は食事に占める糖質の割合が60%あるのに対して、糖質制限食は12%です。糖質制限食は「血糖値を上げるのは糖質だけだから、これを摂らなければ糖尿病が治る」という考えです。

 アメリカ糖尿病学会では糖質制限食を糖尿病の治療食として認めているので、日本でもこれから拡がっていく可能性があります。今、糖尿病の方は将来認知症になるのではないかという危機感をもって、食生活を見直してください。

[参考記事]
「糖質制限食(低炭水化物食)における糖質1日の必要量」

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