認知症の人に幻覚のような症状が発生すると、介護をしている人もどのように対応したらいいか分からず、一緒に混乱してしまう事があります。しかし介護者の混乱は幻覚を訴える本人の気持ちをさらに混乱させ、症状が悪化する危険が出てきます。よって介護者は正しい知識と対応方法を身につける必要があるのです。
ここでは幻覚の症状と正しい対応方法について実際に発生する症状の例を挙げながら紹介します。
幻覚はどのような症状が起こるか
幻覚の症状を具体的にあげると
〇「あそこに先ほどから男の子が立っているの」「に人がいて部屋を覗いていたの」といった幻視症状
〇実際には発生していない音が聞こえて「誰かが私の悪口を言っている」「誰かが私に命令口調で話し掛けてくる」といった幻聴症状
〇夜間に壁の模様を見て「得体の知れない生物が私の方を見ている」のような訴えをしてくる錯覚等があります。
認知症の特にレビー小体型認知症という種類になってくると幻視症状が主な症状として出てくる事があります。
正しい対応方法とは何か
認知症により幻覚の症状が発生した時、本人は強く混乱している状態になります。したがって介護者が「何もないでしょ」「どうしてそんな事を言うの」等、声を荒げるような態度をすると混乱は増大し、逆効果となります。では1つずつ対応方法を見ていきましょう。基本的な対応の仕方は同じです。
幻視の症状に対しては「男の子が立っていたんですか?びっくりしましたね」と最初に本人の訴えを否定せず受け入れる姿勢を見せます。そして「何があっても私がいますからね。安心してください」と冷静に穏やかな口調で話します。
幻聴の症状に対しては、最初に本人の訴えを受け入れ、「相手が文句を言わないように注意してきますね」などと言って、最後に「私がそばにいて何かあったら守りますからね」のように安心出来るような声掛けをします。
認知症による錯覚については、壁の模様が何者かに見えるのであれば、それを隠すといった対応が必要になります。これに関しても「私たちが守りますから大丈夫ですよ」と気持ちが落ち着くような声を掛けていきます。
以上、幻覚の対応の基本は決して本人の訴えを否定せず「大丈夫ですよ」「そばにいますからね」のような安心感を与えるような声を掛ける事です。また、心身の状態に変化がないか確認して医師の診察を受ける事も大切です。不眠や便秘、眼の異常といった身体的な症状が精神面にも影響を与えて幻覚症状が発生する恐れも出てくるためです。
[参考記事]
「レビー小体型認知症による妄想や幻覚に対する対応」