今回は、社会的な問題にもなっている介護離職・遠距離介護について、少し違った切り口からスポットを当て、お話しします。
介護離職について先ず、お伝えしたい事は、介護が必要になったご家族を懸命に見る為にご自身のキャリアを捨て介護に勤しむのは、家族の絆がきちんと結ばれているからこその賜物で素晴らしいと思います。国も在宅に力を入れるよう方針を示しています。その上で介護離職を選択した時に、直面するリスクをお伝えします。
[介護離職のデメリット]
①
介護を理由に仕事を辞める事を「介護離職」と言いますが、国の経済成長に多大な影響を与えているばかりでなく、家計の舵取りにも影響を与えます(介護離職は年間10万人)。
定年退職ではなく、半ばで離職するという事は、定年退職の場合と比べると公的年金の支給開始までの期間が長くなりますから、それまで貯金が持ちこたえられるのかが重要になります。もし、お金が足らないけど、介護離職したい場合に考えられる方法としては配偶者や兄弟がいるのであれば皆で少しずつお金を出し合うことです。
介護だけをする人、お金だけを出す人、お金も出して介護も行なう人、何も協力しない人など色々なケースが考えられますが、会社を辞める前に納得がいくまで話し合ってください。
②
会社を辞めるということは被用者(会社に雇われている人)ではなくなるので、厚生年金が減る分、受給額も低くなります。離職後から向こう2年に限り「任意継続」する選択肢もありますが、事業者負担分が無い為、基本的に在職中に払っていた金額の2倍払わなくてはいけません。
この金銭的な状況下で、このような追加的な費用を払わなくてはいけなくなると一気に中年破産への入り口が迫ってしまいます。
[介護離職のメリット]
このリスクを負って介護離職をするリターンは、「大切な家族の人生の終盤に寄り添う事が出来る」という事が挙げられます。お金には代え難い精神的な満足が得られます。
私は介護職員ですが、同時に認知症の家族を介護した経験があります。その時には介護施設に入ってもらったのですが、
「もっと何かしてあげられる事があったのではないか?」
「果たして施設に預ける選択肢はお互いに幸せだったのか?」
「もう少し家で見る事も出来たんじゃないか?」という自責に近い念を抱きました。在宅介護の場合にはこのような罪悪感を抱かなくて済みます。
[介護と仕事との両立]
先ほどは介護離職をするデメリットについて書きましたが、もちろん、収入を得ながら、介護を行なうということも可能です。今の社会はネット環境が整っているので、20年前では不可能だった「家で仕事をする」ことが可能になります。理解がある会社であれば在宅勤務をすることも可能ですが、今はトヨタなどの大企業やIT会社のみしか在宅は行っていません。
そこで、少しでもいいから収入を得たい場合には「ランサーズ」や「クラウドワークス」のサービスがお勧めです。例えば記事の作成や、システム開発などの仕事をネット上で受注でき、家で仕事をすることが可能になっています。
もう一つの選択肢としては「サイト作成」です。無料ブログなどに記事を書き、それにより広告収入を得る方法です。これを「アフィリエイト」と言います。このサイトでも実はアフィリエイトの仕組みを採用していています。以下のように広告が表示されていますが、これがクリックされるとサイトを作成した人に広告収入が入ります。
遠距離介護の注意点
遠距離介護は介護離職とは違い、仕事を辞める訳ではありませんから、金銭的なリスクは格段に下がります。これに対し、人生の終盤に寄り添えるというメリットは「休日の空いた時間」や隙間の時間のみしか介護には関われませんので、在宅介護と比べると限定的になります。
そして、家族が遠方にいるという事は、中々普段の様子に目が行き届きませんから、異変にも気付きにくく、オレオレ詐欺のような事件や火災などによる事故に巻き込まれるリスクも上がります。
頼りは訪問介護事業者や近隣住民という事になりますが、常に見てもらえるわけではありません。それでも、施設に預けるよりは心理的な負担(預けた事による罪悪感)はマシになるでしょう。別に施設に預けることが悪いと言っているわけではなく、我慢しすぎるくらいであれば施設への入所も考えるべきでしょう。
介護離職や遠距離介護はいずれも大変な決断が必要になります。本人だけでなく、周囲にも影響が出る選択ですので、親族はもちろん、専門職に相談して助言を求めるのも良いと思います。