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私(介護職員)がお世話をした重度の認知症の方々

 

 認知症は進行に伴って呈する症状が色々と追加されていきますが、重度になるとどのような状態になるのかお話しします。

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寝たきりやお亡くなりになる事もある

 最も多い割合を占めるアルツハイマー型では、発症から概ね10年程度で寝たきりやお亡くなりになると言われています。

 血管性認知症はその後の梗塞の有無などで大きく変わりますから、個々人の要因によって寝たきりや死までどれ位の期間が掛かるのかは一概には言えません。

 レビー小体型認知症はアルツハイマー型認知症と比べ寝たきりになるまでの期間が短く概ね7年程度と言われています。

私が経験した重度の認知症の方々

 私が介護職員として経験した認知症が進行した方々の例をお伝えします。

①失認(外界の認識能力が失われること)から食事を認識しなくなり、あの手この手の介護と医療のバックアップの甲斐なく、注入食に移行し、寝たきりになるケースの入居者をよく見ます(注入食になっても時期を見てペースト食を経口摂取に戻るケースもあります)。

 また、空間の失認によって歩行時につまずき、その怪我のせいで寝たきりになり、認知症の症状が進行するケースもあります。私が見てきた中には骨折した事例が有りました。80代の女性の方でしたが、廊下を歩いているときに転び、右手首と膝の皿を骨折してしまい、食事の際に利き手が使えず、暫く不便な日々が続きました。

 さらに膝も骨折したため、歩くことができず、ベッドで横になっている時間が増えてきました。そのせいで、自分がどこにいるのか分からないという見当識の障害が現れ、食事の量も極端に減りました。その後、病院に入院することになり、老人ホームを退所したのですが、その後しばらくして、脳梗塞で亡くなったと聞いています。

[参考記事]
失認については
「認知症の中核症状って一体どんな症状なの?」

②失認以外では失行の症状をよく見ます(特別難しい動作を伴うようなものでなくても 行動に移せない。例えば服を着れない等)。私は毎週面会に来られるご家族(時間が合えば介助もして下さる)から「最近服が着れない事が多いと聞いていますが、本当ですか」と相談を受け、失行とはどういう症状なのかを説明した事があります。

 このご家族の方は認知症が進行した事にショックを隠しきれないご様子でしたが、「理由が分かり良かったです」と言われていました。

③妄想が目立ち始めた施設の入居者のケース。
「天皇に呼ばれたから名古屋でお店出さなあかん。歩いて行くから連れって」
「昨日産んだ子供に乳あげないとあかんから連れって」
と、ある入居者の方に言われました。

 その時、一緒にいた後輩の職員が
「天皇陛下と知り合い⁉」
「子供って…..〇〇さんいくつ⁉」
と言った時に、
「私嘘言ってないで!」
と怒る事が多くなりました。このような疑うような対応は間違えているので、この後、後輩の職員に「相手の話を合わせるように」と注意したことは言うまでもありません。

④私が介護した人の中でレビー小体型認知症の方がいましたが、妄想性の人物誤認が目立っていました(レビー小体型認知症以外の認知症にもあります)。例えば、配偶者を「配偶者の見た目をした他人」と思い込んだり、知らない人が同居していると思い込んだりします。また、レビー小体型認知症はパーキンソン症状があることから、車椅子生活や寝たきり状態が多くなっていました。

 認知症は行動障害が強くクローズアップされがちですが、重度化に伴い寝たきりや死など行動障害よりも悪いステージに進みます。いかに進行を抑えられるかは適切なケアをすることが大事な要因の一つです。これまで、このサイトで取り上げた適切なケアを紹介した記事を参考に、認知症の進行を遅らせるように頑張っていただきたいと願っています。

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