認知症かどうかを調べる場合、どの科で、どのように診断していくのかを説明します。
認知症の診断はどの科で行っているのか
認知症を扱っている科は病院によって違いますが、分かりやすい例で言えば「物忘れ外来」などの名前が付いています。その他にも「精神科」「脳神経内科」「神経内科」「老年病科」「認知症科」「老年内科」など幅広い科で診察を行っています。
大事なことは「認知症の専門医」のいる病院に行くことです。普通の病院の医師では認知症の知識がないために他の病気と勘違いする可能性もあります。認知症の専門医は「日本認知症学会」で探すことが出来ます。
次に認知症の診断方法についてお話ししていきます。認知症の診断は大きく分けて3つの項目に分かれています。
1つ目は問診
医師が認知症が疑われる人とその家族に対して問診を行い、
「いつから、どのような症状が出てきているのか?」
「日常生活を送るにあたってどのような事で困っているのか?」
「食事や睡眠や運動などどのような生活を送っているのか」
「持病を持っているのか(飲んでいる薬は何か)」
などを聞きます。
2つ目はテスト
医療機関によって内容が違いますが、多くの病院では改定長谷川式簡易知能評価スケールやMMSEで認知症のテストを行います。テストでは記憶力や見当識など幅広い項目をチェックします。
改定長谷川式簡易知能評価スケールやMMSEについては「よく使用される認知症テストは2種類。長谷川式簡易知能評価スケールとMMSE」で詳しく説明していますので、こちらをご参考にしてください。
3つ目は画像診断
MRI(核磁気共鳴画像法)、CT(コンピュータ断層撮影)、SPECT(単一光子放射断層撮影)などで脳の画像を確認します。画像検査なんて必要なの?と思うかもしれませんが、認知症の診断を行うにあたって画像診断はきわめて重要です。
MRIやCTでは脳が縮んでいるか、脳梗塞などの病気がないかなどを確認します(可能であればMRIをとって欲しいですが、認知症状が強い方の場合、約20分じっとしているのは困難であるため、MRIが無理な場合はCT撮影を行います。)。
「認知症の原因疾患の代表的な4種類」で説明したようにアルツハイマー型認知症では海馬が委縮したり、血管性認知症では脳梗塞や脳出血などの脳の病気が原因ですので、これらを画像診断で見つけることが出来ます。
SPECTでは脳の血流が分かるのですが、青、黄、赤などの色で血液の流れを判断します。認知症の種類によって血流が滞る箇所が違いますので、認知症の種類を特定するのにも役に立ちます。
以上の3つの項目を全て終えたうえで、認知症であるのか、原因疾患は何かを判断します。