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レビー小体型認知症の幻視、幻聴に対しての対応

 

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レビー小体型の認知症症状

認知症といえば物忘れが代表的と思われがちですが、レビー小体型認知症でよく現れる症状として、生々しい幻視が起こったり、聞こえない声や音が聞こえたりする幻聴が起こったりします。

ここで私の体験談としてレビー小体型認知症の代表症状である幻視の対応について書きたいと思います。

入所の経緯

Aさん、女性、入所時82歳、自宅では長男夫妻と同居。若い頃は活動的で婦人会の会長を務め、周りの人にも自分から声をかけるような社交的な性格でした。しかし、最近部屋に閉じこもりがちになってきており、パーキンソン様症状も見られ、自宅での転倒も目立ってきた為、病院で調べてもらったところレビー小体型認知症の診断が下りました(パーキンソン様症状もレビー小体型認知症の症状)。

同居家族である長男夫妻は自営業の為、介護する時間がないため、特別養護老人ホームへの入所を決められました。施設入所後からも幻視が起こり、私の夜勤中に「あなたの後ろに女の人が笑って立っているわよ」と言われて、冷や汗をかきながら慌てて後ろを振り向く事もありました。

幻視

ある時Aさんに入浴を勧めたところ、(杖歩行で歩行可能だったので)歩いて部屋から出てこられたのですが、廊下で立ち往生され、浴室へ向かおうとされなくなりました。話を聞くと「道(廊下です)の真ん中に蛇がいて向こうに行けないの」と言われました。

そこで私はその蛇がいると言われたところで手を振り(追い払う振りをして)、「いなくなった」と言ってから移動するようにしました。すると「ありがとう」と感謝の言葉を頂き、無事脱衣場まで行くことができました。

幻聴

夜間ナースコールがあり部屋を訪れると(穏やかな方だったんですが)、Aさんは怒った様子で「こんな夜中に子供達がはしゃいでる、誰かが言わなきゃいけないでしょ」と言っています。よくよく話を聞くと、夜中に目が覚めたら子供達の遊んでる様な声がする、時計をみたら11時(23時)が過ぎているのに早く寝かさないと子供達の健康に悪いとの事です。

「解りました。子供に早く寝るようによく言ってきます。心配なさらないでください」と言って退室して10分後、再度部屋を訪れると、子供達の声は収まったけど今度は大人が騒いでいると言っていました。

これだと夜が明けてしまうと思い、「すいませんでした。お部屋を用意しましたので、そちらへ今日だけ移って頂いてもよろしいですか?」と声かけし部屋を移動しました。その後夜勤中にナースコールなく良眠されていました。

まとめ

レビー小体型認知症の幻視、幻聴に対して、介護者自身が見えないから、聴こえないからといって「そんなのいませんよ」「何も聞こえませんけど」と否定的な対応をしたところで患者様ご自身には実際に見えて、聞こえているのですから納得はしません。

最初から否定した対応ですと入所者様の信頼を失う事にも繋がります。私自身も否定的な対応をしてしまって患者さんに「もういいです」「あんたに話しても解ってくれないからいや」と言われてしまった事もあります。それからは幻視、幻聴の訴えがある場合には「一緒のものが見えているし、聞こえている」という気持ちで対応しています。

[参考記事]
「レビー小体型認知症ってどんな症状があるの?」

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