認知症には4種類あると「認知症の原因疾患の代表的な4種類」でお伝えしましたが、今回はレビー小体型認知症についてさらに詳しくお話ししていきます。レビー小体型認知症とは脳幹や大脳皮質にレビー小体というタンパク質が溜まることで神経伝達が阻害される病気です。
レビー小体型認知症の特徴
①注意力低下
注意力や集中力がないために簡単な計算が出来ないなどの症状があります。
②覚醒レベルの変動
先ほどまでしっかり受け答えしていたのに、時間が経って改めて会うとぼんやりしているなどの意識の変動があります
③幻覚症状
この幻覚症状は比較的早い段階から発症することが多いです。製薬会社の調査ではレビー小体型認知症の8割の人に幻覚症状が見られます。例えば「幻視」の場合には「目の前に男の子が立っている」「壁にカブトムシが止まっている」など具体的にリアルに表現します。
④パーキンソン症状
パーキンソン病という病気がありますが、それと似たような症状が出ます。例えば筋肉が硬直して、歩けなくなる、手や足が震えるなど。
⑤レム睡眠行動障害
夢の中身に応じて、寝ている時に大きな声を出したり、暴れたりする障害です。
⑥抗精神病薬の過敏
レビー小体型認知症は幻覚などの精神障害が現れる可能性が高いとお伝えしましたが、そのため抗精神病薬が処方されるケースが多いです。しかし、抗精神病薬に対して過敏に反応してしまう場合があり、その結果パーキンソン症状が現れたり悪化したりしますので、最悪の状況では歩行困難になるケースがあります。
⑦自律神経症状
自律神経症状は頭痛、めまい、手や足が冷たくなる、便秘、汗がたくさん出るなどの症状です。
⑧一過性の意識障害
これは失神などを伴う障害で、秒単位、分単位の間に起こります。通常は立っている状態で失神することが多いです。
⑨うつ状態
レビー小体型認知症のうつ状態の人に抗うつ薬を処方する医師(特に精神科医)がいますが、解消しないどころか⑥と同じくパーキンソン症状が現れたり、認知症状が悪化したりしますので注意が必要です。
⑩妄想
妄想とは
〇いまだに自分が現役のサラリーマンであると思っている。
〇自分の持ち物を盗られたと思っている。
〇旦那が浮気をしていると思っている
〇替え玉妄想といって、家族を他人だと思っている
などです。
製薬会社の調査ではレビー小体型認知症の25%の人に妄想が見られます。
⑪女性より男性の方がレビー小体型認知症は多い
特に真面目な男性はなりやすい。
症状に関しては以上です。
もちろん全ての症状が出現するわけでもありませんが、人によっては複数の症状が出現する場合があります。
レビー小体型認知症は具合の良い時と悪い時の変動が激しいため周囲の人も驚きます。よい日であれば、周囲の人とコミュニケーションがしっかり取れたり、散歩したり家事を手伝ったりする事がで出来ますが、悪い時はコミュニケーションもとれずベットから起き上がることも出来なくなります。また、お伝えしたように幻視や妄想といった症状が出現する方が多いです。
レビー小体型認知症の治療
薬物を使用することで、幻視を軽減させたり、精神状態を安定させます。レビー小体型認知症の薬としてはアリセプトが使われています。しかし、添付文書に書いてある通り、症状の進行を抑える効果はまだ確認されていません。
1.本剤がアルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。
2.アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。
アリセプトの添付文書より引用
[参考記事]
「脳血管性認知症ってどんな症状があるの?」
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