認知症の人が夜に大声で叫んだり、奇声を発したりする場合がありますが、施設の場合でも家の場合でも、他の利用者、介護職員、家族に精神的に大きいダメージを与えます。ごく稀であれば良いですが頻度が高いと寝不足になります。
しかし、この問題は同様に認知症の人自身もしんどい思いをしている訳ですので、何とかしなければいけません。この優先度の高い問題に介護職員がどのように向き合っているかお話しします。
想像力を発揮する
認知症の人が何故大声を出したのか理由を考えると幾つもの可能性が思い浮かびます。
例えば
〇記憶障害と見当識障害から自分がいる場所と何故ここにいるのか分からず恐怖を感じた(参考記事「認知症の中核症状って一体どんな症状なの?」)。
〇自宅から施設に移った、もしくは施設から自宅に移ったことによる環境の変化で不安感が増大する。
〇レビー小体型認知症で幻視があり困惑した(参考記事「レビー小体型認知症ってどんな症状があるの?」)。
〇何か不快な事があり(冷暖房の効き過ぎや体調不良・口渇感・どこかに痛みが有る・掻痒感等)、助けを呼んだ。
〇前頭葉に萎縮が及んでいることにより、夜間に叫ぶ衝動と常同行動(同じ事を繰り返すこと)が抑えられない(参考記事「前頭側頭型認知症ってどんな症状があるの?」)。
等がパッと思いつきます。
これらの考えられる可能性を、認知症の人の個人的な情報(家族関係や生活歴など)と照らし合わせる事で、理由を推察する精度を上げる事が可能です(そもそも高齢者は若者に比べて眠りが浅くなりますから、夜に大声を出す環境は作られやすい)。原因は様々絡まり合って解明が困難なケースが多いですが、根気強く、あきらめずに探って下さい。
施設の場合には大声だ出す行為が続くことで最悪、退去させられる可能性がありますので、解決できるのであればそうしてあげたいというのが介護職員の思いです。
上で推察したそれぞれの理由に応じたケア以外にしている事
夜に大声を出すということは夜に覚醒しているという事ですから、夜にゆっくり休んでもらえるように、不眠になる要素がないか一日の流れを徹底的に洗い出します。理由が見つかればそれを解決すれば良いですが、問題は見つからない場合です。その場合は日中の負荷(適度な疲れ)が足りないという事ですから、認知症の進行を抑える為にも、有酸素運動やレクリエーションを取り入れる等で日中の過ごし方を改善して様子を見ます。
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