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環境の変化により不安行動が増えた認知症患者への対応

 

環境が変わり、不安行動が見られた際の対応についてお話ししたいと思います。

S氏、92歳女性。ご主人と老人保健施設の2人部屋に入所されていました。S氏は、年相応の物忘れ、耳が遠いことがありましたが日常生活には支障がなく、言葉掛けにて穏やかに生活されていました。ご主人は、認知症はありませんでしたが、心臓に疾患があり状態がよくありませんでした。

入所して1年。ご主人が、状態悪化により入院し、S氏とご主人は別々になりました。その後、S氏は、数日はご主人を探す動作は見られていましたが、表情は落ち着かれていました。しかし、数日後より突然の大声、暴れたり泣いたりと感情が不安定になったため、1か月後、S氏はご主人と同じ病院の療養病棟にご主人とS氏の状態が落ち着くまで入院されました。

S氏の精神状態は、ご主人と同じ病院に入院されても落ち着かれるどころか悪化し、ご主人を介護されている職員に対しての被害妄想、大声、暴れたりと感情が不安定になられ、元の老人保健施設に戻りましたが落ち着きがなかったので、少人数のグループホームに入居することになりました。

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グループホーム時入所時のS氏の状態

主治医から、アルツハイマー型認知症の診断がでました。老人保健施設に戻った際、中核症状は、突然泣いたり怒ったりする。とにかく歩き回る。

トイレに行きたくなるとトイレを探し回る動作をしていましたが、タイミングがつかめず、ずっと付き添うことができず放尿がありました。放尿した際、感情が特に不安定になりました。ポータブルトイレを設置してもポータブルトイレがトイレという認識はありませんでした。

食事、入浴も機嫌がよければ隣の人を見ながら行っていましたが、誘導が必要で集中力がありませんでした。睡眠も暴れて疲れたら寝ていたので睡眠時間は定まっていませんでした。

グループホームができて数年で、S氏のような入居者さんが今までいなかったことから職員、他の入居者が暴れる姿をみて戸惑っていました。

職員の対応について

今まで、このようなS氏のような人を職員も対応したことがなく戸惑っていましたが、次の3つのことを統一しました。
①なるべく近くで見守り、落ち着くまで様子を見る

⓶こうしたら良かった、こうしたら暴れた怒ったなど、分けて記録に記入する

③S氏と仲の良い職員のみで接するようにする
 
①に関しては、暴れて、人に迷惑がかかりそうになった時だけ、おんぶして部屋に連れて行きました。それ以外はなるべく近くで見守る時間を増やすようにしました。

⓶に関しては、入浴時に暴れることが多かったのですが、昔の歌を歌いながら誘導すると良かったことなど様々なことを記録し、次の日へ繋げていました。

③に関しては、ほとんどの職員はS氏が怖いと思って対応していたため、S氏もそれを感じて心を開いていませんでした。しかしM職員だけはS氏を毛嫌いすることなく接していたため、S氏もそれを感じたのか感情的になることはほとんどありませんでした。

ですのでM職員がいるときはM職員が中心となって接するようにしました。S氏が暴れた際はM職員ともう1人の職員が対応し、S氏が心を開くまでM職員を中心に多くの職員が対応していくようにしました。

その後

対策を始めて最初の1週間は感情の起伏が激しかったのですが、2~3週間後にはソファーに座ったりと落ち着く時間が増えました。

そして、S氏の状態が落ち着いたことでいろんな手伝いを行なっていただきました。できることは少ないですが、他の入居者さんと一緒にお手伝いをすることで会話をする時間が多くなりました。

1ヶ月ほどし、暴言は週に1度になりました。慣れていない職員との関わりの中で怒っている傾向があったのですが、ローテーションの関係上、ずっと仲の良い職員だけの対応は無理でした。

まとめ

その後、入居して1年ほど経ち、ご家族より「S氏のご主人が危篤なので、面会に連れて行っても大丈夫だろうか」と尋ねてきました。「いまS氏が不安定になっても職員がいるので大丈夫です。」と伝え、S氏はご主人のところへ面会に行きました。ご主人を見て、S氏は管を全部外したそうです。その様子を見てS氏のご主人は「元気になったね」とS氏に一言言って、翌日にS氏のご主人は亡くなられました。

S氏は、夜間涙を流されていました。きっと分かっていたのだと思います。その後S氏のアルツハイマー型認知症は進行していき、トイレの失敗などが見られるようになりましたが穏やかに過ごされました。

認知症の方には環境の変化がよくないと言われています。しかし、ご家族が在宅で見ることに限界を感じるなどの理由で環境をかえなければいけないこともあります。

S氏のように感情が不安定になっているのは必ず理由がありますし、すべてが分からない訳ではありません。ですので、根気よく接していくことが大切です。S氏を通じてスタッフの自信に繋がりましたしS氏に学んだことは沢山ありました。

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