この記事は30代の女性に書いていただきました。
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私が同居介護をしていた祖母は、認知症(アルツハイマー型認知症)の診断が下りてからずっと、認知症の進行を抑えるといわれる薬を服用していました。
祖母が認知症であることの診断がついた際、病院で「認知症の症状を抑える薬を出しますが、普通のものとジェネリックのものとどちらを希望されますか」と尋ねられました。その時、祖母を受診させていたのは母だったのですが、母は診療費のことも考慮した結果、ジェネリックの方を希望しました。
それはドネペジルという白い小さな錠剤で、朝食後に1錠飲むものでした(正規品はアリセプトという薬ですが、ジェネリックと成分は同じです)。認知症の進行を抑制し、脳の動きを活性化させるという効能で、副作用として吐き気や食欲不振などが起こる可能性がある、と医師から説明がありました。
幸い、祖母はこの薬で副作用が起きたことはありませんでした(アリセプトの副作用で攻撃性が強くなる場合があると知人から聞いていますが、そのようなこともありませんでした)。
けれど、この薬が果たして、どこまで認知症の症状改善に効果を持っているかは結局、最後まで分からなかったです。正規品のアリセプトを選択した方が効いたのではないかとか、そもそも本当に祖母のケースにこれらの薬が合っていたのかとか、後々までいろいろと考えました。私の個人的な意見ではあまり祖母の症状に改善が見られなかったので薬の効果はなかったのではないかと感じています(あくまで個人的な意見です)。
薬を忘れず飲んでもらう対策
さて、認知症の人に忘れず薬を飲んでもらうことは、大抵の場合なかなか困難です。食事を食べたかどうかも忘れてしまったりするのに、薬を飲むとなると、薬を服用すること自体忘れる・飲んだかどうか忘れる・いつ何錠飲むのか忘れるで、本人の意思にだけ任せるのは難しいケースが多いです。「お薬カレンダー」も試しましたが、私の祖母の場合には意味がありませんでした(薬を以下のカレンダーの中に入れて飲む忘れを防ぐ)。
そこで、こちらで祖母の薬を管理して、朝食後に「ばあちゃん、薬だよ」と水とともに出してやると、「そうかい」と言って飲んでくれます。
祖母はその他に、高血圧の薬と後半は夕食後に皮膚科の薬も飲んでいたので、私と母が交代で朝と夕、薬の管理を続けました。効果があるかどうか分からない薬を苦労してまで飲ませ続ける意味はあるのだろうかと葛藤がありましたが、途中で勝手に止める訳にもいかず結局は医師の指示通り飲んでもらっていました。
[参考記事]
「認知症の代表的な薬とは?」
介護の協力体制
祖母が通った病院には、認知症になる前から行っていたため、先生も看護師さんもみんな祖母の状況を知っていてくれて、それがこちらとしては心強かったです。季節の変わり目などに祖母が風邪をひいたり、またうっかり室内で転倒したりした時も、そしてインフルエンザの予防接種なども、全てこの病院で診てもらっていました。(結局、祖母が亡くなったのもこの病院になりました)
その他、定期的に地域のケアマネジャーさんが訪問に来てくれていました。祖母がデイサービスでいない日に来てくれて、家族の話を聞いてくれたり、祖母のいる日に来て祖母の様子を見てくれたり、時にはデイサービス施設まで祖母の過ごし方を見に行ってくれたりもしました。
このケアマネジャーさんが、とてもざっくばらんに談笑しながらしっかり家族の話を受けとめてくれ、母も私もケアマネさんの存在にずいぶん救われました。祖母自身もこのケアマネさんのことは気に入っていて、会えばあれこれ話したりと楽しそうでしたが、在宅介護を続ける家族にとっても理解あるケアマネジャーさんの存在は本当に大きな味方になります。このケアマネジャーさんは、ご自身も身内の介護を体験された方だったので、細かいところまで家族の感情や思いをわかってくれました。
介護はどうしても、その経験のある人でなければ親身な理解を得るのが難しいといわれます。経験のない人は、介護の事柄を理解共感しようとしてくれても、実際それは想像に過ぎないので、介護でいっぱいいっぱいになっている当事者には響きにくいことがあります。
日々続く介護のことを打ち明けるのも、他の話題を楽しみ気分転換をはかるのも、どちらも大切なので、在宅介護を続ける家族にはそのどちらも話せる友人や協力者がいると良いでしょう。
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「薬(アリセプト)は認知症に効果があるのか検証してみた」
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