認知症は4つに分類することが出来ることは「認知症の原因疾患の代表的な4種類」で書きましたが、今回は前頭側頭型認知症やその症状について詳しく説明していきます。
前頭側頭型認知症はTDP-43やリン酸化タウというタンパク質が前頭葉や側頭葉に溜まることで発症する認知症です。その結果、前頭葉や側頭葉が委縮し、思考力や想像力などが失われていきます。
前頭側頭型認知症の症状
①同じ行動を繰り返す
例えば
〇毎日同じ時間に同じ場所を歩いたり、同じ料理を食べたり、同じ行動を繰り返します。同じコースを歩くので外に出かけても、アルツハイマー型認知症と違って道に迷うことなく家に帰れる場合が多い。
〇お弁当に違うおかずをお願いしても毎日同じおかずしか入れてくれない
〇特別な食べ物に固執する。
例えばチョコレートをひたすら食べるなど。
②抑制のない行動に走る(社会的な常識が欠如する)
つまり、身勝手な行動をする。
例えば
〇信号に関係なく横断歩道を渡ってしまう
〇買い物に行ったがお金を払わず店の外に出てしまい、注意されても何が悪いのか解らず万引きを繰り返す
〇知り合いの葬儀に参列して、大声で笑ったり、はしゃいだりする
〇大事な会議に遅刻したり、会議中に鼻歌を歌ったり、あくびを平気でしたり、商談相手を怒らせても平気であったりといった行動をとる
このように社会や他人への配慮が欠如していますが、本人は自分が病気で変な行動をしているとは思っていないので(病識がない)、反省もありません。
③初期の頃は記憶障害はあまり目立たない
アルツハイマー型認知症は初めから記憶障害が見られますが、前頭側頭型認知症は初めの頃は記憶障害は目立ちません。
④言語障害
言葉がスムーズに出ないため、会話が上手くいかない
⑤自分に無関心になる
お風呂に入らなかったり、服装も気にしないようになる。
⑥言われたことを理解できない
言われたことを理解できないだけではなく、言葉を発しにくくなります。要は言語障害です。
⑦回りからは人が変わったように見える
今まで好きだった趣味を全くやらなくなったり、今までの性格とは逆に変化するので、周囲の人は困惑します。
人格障害の性質も帯びてくるので、人に平気で暴言を吐いたりします。ものまね芸人の栗田貫一さんが前頭側頭型認知症と診断されていますが、妻に粗暴な態度を取ってしまうなどの症状が現れているそうです。
逆に怒り、喜びなどの感情を表わさないタイプの前頭側頭型認知症の方もいます。
⑧50代などの比較的若い頃に発症する
先ほど紹介した栗田さんはまだ57才ですが、前頭側頭型認知症は50才くらいの比較的若い年齢でも発症することがあります。
⑨周りに影響される
人が立ちあがると自身も立ちあがったり、人の言葉をマネしようとします。
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以上の症状があるために、一般の人では認知症が原因であるのか、故意的であるのか、また精神的な異常であるのかはパッと見た限りでは判断ができにくいのです。家族も本人の行動を理解しにくいため、なぜこんなことをするの?注意してもどうして解らないの?と辛く大変な思いをします。
少しでも行動がおかしいと思ったのであれば一度認知症の専門医療機関を受診させ、診察してもらうことをお勧めします。前頭側頭型認知症と分かれば、治療方法や対応方法も解るため、少しは苦痛から解放されます。
[参考記事]
「脳血管性認知症ってどんな症状があるの?」
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