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認知症が進行しても1人暮らしを継続するための取り組み(実例)

認知症が進行している方の1人暮らしを継続するために、地域、医療、介護分野での取り組みを紹介します。

84歳男性O氏。1人暮らしを10年ほどされており、家族は遠方におられます。日常生活は自立されており、週3回のデイサービスと、訪問介護にて掃除、買い物、デイサービスの準備なども行っていました(本人も時折買い物に行っていました)。

徐々に認知症進行し、①薬の飲み忘れ、⓶鍋を焦がしたり、③尿失禁などの回数が増えました。また、④耳が遠いことから一人で話していることが多くなってきました。デイサービスの帰りも散歩に外に行かれ、帰ることはできますが、遅い時間に外出をされるようになりました。

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地域との協力、医療・福祉との連携、話し合い

ご家族の協力のもと、2か月に1度は定期的に状態を見に泊まりに来てもらうことになりました。

①に関しては、ドクターと現状を相談し、朝・夕・眠剤服用を朝・夕服用になり、朝は訪問介護が、夕はデイサービスもしくは訪問介護が服薬を促すようになりました。

⓶鍋を焦がすことに関してはご家族の承諾後、ガスを止めました。電子レンジは使えるようなので、電子レンジは継続しておくようになりました。

③尿失禁に関しては、便失禁はすることはないので、ポータブルトイレを設置し、パットはあつめのパットにしトイレに置きました。パットが汚れたら交換しないといけないこと、そして着替えの順番が分からないようだったので、ポータブルトイレ前にもトイレにも着替えを下着から順番に置きました。デイサービスにも多めに着替えを準備し、毎朝、訪問介護職員が確認するようになりました。

④なるべく洗濯と掃除、買い物の訪問介護スタッフが長くいる時間にコミュニケーションを図るように心がけました。外出に関しては、外出で困っていることがあったらと、警察・民生委員・他の介護職員が移動時に見つけた時の為に顔写真と特徴を把握しました。靴に名札をつけました。

取り組みの結果はこうなった

①薬の服薬の変化
薬は、はじめ「なぜ飲まなければいけないのか。」と2日に1度拒否が見られましたので、「血圧が高いから飲んだらいつもの頭痛が治りますよ。」と対応を統一すると拒否なく服薬されるようになりました。

⓶鍋を焦がすことへの対応
ガスを止め困ることがないようでしたが、デイサービスにいかない際、一人の時にお腹がすいているようで、冷凍庫に入っている食べ物を無理に食べようとした跡がありました。

そのため、悪くならないパンなどの食べ物を少しずつご飯と別にテーブルに置いておくようにしました。冬場は、暖かいお茶が飲めないので、失敗するときもありますがポットを設置するようになりました。

③ベッド上での失禁の対応について
ベッド上での失禁は、夏に自分でエアコンのリモコンを18度にしていたことがあり、その時は確実にベッド上で失禁していましたので、紙に記入し、エアコンを引き出しに入れ温度を一定にしました。

しかし、消そうとしてエアコンの前の台に乗って転倒(打撲)したので、切りタイマー入りタイマーをすると自分で消そうとする行動はなくなりました。失禁は、確実に朝交換することにし、紙パンツまでの汚染はありますが、ベッドでの汚染の回数は減りました。1週間に1度ポータブルトイレに排尿ありましたがほとんどはトイレに行かれていました。

④外出時の対応について
訪問介護が訪問中に洗濯ものなどの説明をすると、一緒に洗濯を干していただけるようになりました。言葉掛けにも応じる時と拒否の時があり、こちらが忙しそうにしていること、とても助かっていることを伝えると、洗濯干しや掃除機かけをゆっくりされるようになった。

その際は、一生懸命相手が伝えていることを聞こうとしているので、耳はよく聞こえられていた。民生委員などでも、近くにО氏が歩いていると声をかけてもらえるようになる。訪問介護スタッフが道端で会い家に連れて戻ることも何度かあった。名札はどこにつけていても次の日には外れていた。

まとめ

結果、夕方玄関の前で転倒しているところを近くの人が発見し骨折、リハビリ後に施設に入所されたのだが、認知症がひどくなって3年。できなくなることはありましたが、洗濯と掃除は何人かのスタッフの時だけ限定で行ってもらっていました。名前は分からないといっていましたが、O氏によく話しかけていた職員だったので、信頼があったのでしょう。

地域との関わり、在宅生活で本人らしい生活を少しでも保つことができたので、О氏から学んだことは沢山ありました。本人ができることを探していくことが大切だと改めて学ばされました。

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