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認知症の見当識障害のためトイレの場所が分からない人への対応

 

 Cさん(女性)はアルツハイマー型認知症を患っており、介護付き有料老人ホームに入居する事になりました。

 記憶障害だけでなく、見当識障害が強く見られており、自宅で生活している時も親せきや家族の事もわからなくなってしまいました。また、家の中にいるのにも関わらず、「自宅に帰る」と外へ出てしまうような状況でした。

 その状況は老人ホームに入居した後も変わらない様子で、他者の居室に入ってしまったり、わからず食堂で寝ようとされたりしてしまう方でした。

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基本的には落ち着いている

 Cさんは職員の言う事は特別拒否なく聞かれていたので、日中はフロアで過ごしています。行事やレクリエーションにも参加していて、介助をしながらの生活であれば問題ありませんでした。

 しかし夜間帯になると、見当識障害の症状が強く見られてしまうのです。夜勤者が各居室を巡回し、Cさんの居室を伺うと居室にいない事がありました。職員が慌ててCさんを探すと、他者の居室でトイレをされている所を発見したのです。

 職員はCさんの居室にお連れするのですが、トイレに行くときには自室ではなく、わざわざ廊下に出て、他の居室でトイレをしてしまうのでした。

状況が把握できない入居者への対応方法は?

 見当識障害の方は、場所の理解や、自身が置かれている状況を把握する事が難しいです。居室にはベッドから数メートルの所にトイレの扉がありますが、Cさんの目には入らないのでしょう。そのまま自室から出て、トイレを探して他の居室に入ってしまうようでした。

 トイレ以外では他の居室に行こうとはされないので、他の居室に行く理由はトイレだと分かっていました。

 対応としては、「居室にトイレがある」という事に気づいてもらう事が重要です。職員はまず、夜間寝る前にトイレの場所を伝えるようにしました。都度声を掛けていけば、ある程度理解していくのではないかという事で行ないましたが、状況は変わりませんでした。

 次に行なった対応として、よく入ってしまう居室の入居者の方にお願いをして、鍵をしめて寝てもらうようにお願いしました。しかしCさんは鍵がかかっている他の居室をノックし続けてしまいました。

 職員がこの行為を発見した時には止めるよう伝え、居室にあるトイレの場所を教えて、そこでトイレをしてもらうように促していったのですが、トイレのたびに鍵のかかっている他の居室をノックする為、この対応も中止としました。

気づいてもらう為の工夫が大事

 職員はもう一度話し合いを行ない、「Cさんトイレの場所を気付いてもらうようにする」事について考えました。

 そこで新たな対応として考え出したのが、トイレの電気をつけたまま、扉も開けっ放しにして対応する事でした。そうすればCさんも電気がついている事に気づき、そこにトイレがある事を理解するのではないかという方法でした。

 早速その日の夜勤者に対応の方法を伝え、実行する事になりました。いつものようにCさんがトイレのために起きると、暗闇の中についている電気に気付き、トイレの方へ行かれました。そしてそのままトイレに入っていったのです。

 Cさんが自分でトイレを認識されたのです。そのまま用を足すと、ベッドへ戻っていきました。今回の対応を機に、Cさんは他の居室に入る行動はなくなりました。

 見当識障害の方には自力で認識してもらう事が大切な事を経験させてもらいました。

[参考記事]
「見当識障害により薬の管理が難しい認知症の方への対応」

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