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認知症による帰宅願望が音読によって解決した事例

 初めて老健のショートステイを利用することとなったMさん(女性 89才)。Mさんは重度のアルツハイマー型認知症で、既往として足を骨折しています。歩くのには介助が必要な状態です。

 コミュニケーションはその場の簡単なやり取りは成立しますが、複雑な話などは理解することが難しいです。普段は日中、デイサービスに通っています。今回、一緒に住まれている息子さんが検査で入院することとなり、初めてショートステイを利用することになりました。

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問題:入所してすぐに帰宅願望が見られる

 初めての施設で初めてショートステイを利用することとなったMさんは、来所してからとても不安な様子でした。すぐに「ここはどこなのか、いつ家に帰れるのか」と帰宅願望が強くみられ、一人で歩き出そうとしてしまいます。

 一人で歩くのは転倒の恐れがあり、危険です。そこで職員は隣に座ってお話しを聞き、落ち着かせようとお茶を出してみたり、塗り絵などを促し、気を紛らわせようとしました。

 しかし、初めは興味を示すものの、5分も立たないうちにまた「いつ帰れるのか」と同じ質問を繰り返し、落ち着かない様子になってしまいます。職員はしばらくしたら落ち着くだろうと30分、1時間と様子をみていましたが、状況は変わりません。また、職員は他の方の介助もしなければならず、一人の利用者様だけにずっと付き添っているのは難しい状況です。

施設の名前やいつ帰れるのかをメモにして渡す

 気持ちを落ち着かせるために塗り絵など様々なレクリエーションを試しました。そうやって何をしたら落ち着いて過ごせるのかと利用者様に合ったレクリエーションを探すなかで、簡単な文章が音読できること、単語レベルの内容であれば読んで理解することができることに気がつきました。またそれをしている間はとても集中している様子でした。

 そこで、帰宅願望が見られた際に、施設の名前、どうしてここにいるのか、いつ帰れるのかなどを書いた紙を渡し、声に出して読んでもらうようにしました。それでも初めはメモを読んだあと納得するも、すぐにまた「いつ帰れるのか」と職員に質問していました。

 職員はその度に手に持っているメモを音読するように促します。それを何度か繰り返すうちに、繰り返される質問の回数が減っていきました。そして不安になった時は自ら手に持った紙を読み、落ち着かれるようになりました。そうやって落ち着かれた後には、隣にいた利用者様と談笑する様子も見られ、施設の雰囲気にも徐々に慣れていきました。

まとめ

 認知症の方は初めての環境を受け入れるのに時間がかかり、新しい場所に来ると不穏な様子になってしまう方も多くいらっしゃいます。また認知症の症状として、自分のいる場所がどこか分からなくなる見当識障害や記憶力低下といったものがあります。そのため、帰宅願望がみられたり、何度も同じ質問を繰り返してしまう場合があります。

 質問に対し口頭で答えた場合、その場で理解し納得できてもまた忘れて同じことを質問してしまうのです。一方、答えを紙に書くことで、何度も読んで確認することができます。耳で聞いた言葉は消えてしまいますが、文字はその場から消えることがないため、繰り返し自分で確認することができます。

 また音読は脳を刺激し、認知症に対して良いといわれています。何度も同じ質問を繰り返されて困っている、帰宅願望を落ち着かせたいといった時に、メモなどを渡して読んでもらうことは有効かもしれませんね。

[参考記事]
「認知症による帰宅願望が仏壇のお陰で収まった事例」

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